2009/04/2【一新塾ニュース】第376号
『“困っていない”限界集落、さてどう支援する!?』


☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆
         一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第376号 】 発行日:2009年4月2日
☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆

■ 塾生活動レポート

       『“困っていない”限界集落、さてどう支援する!? 』

                             第20期生 川良 麗子
                
■【 参加者募集 】 第24期 説明会

   東 京 :4月 8日(水)19:30〜21:30/4月11日(土)15:00〜17:30 ほか
   大 阪 :4月25日(土)13:30〜16:00 
   名古屋 :4月26日(日)13:30〜16:00
   福 岡 :4月29日(水祝)13:30〜16:00

  ★お申込→ http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

■【 参加者募集 】一般公開講座

   ●2009年4月11日(土)19:00〜21:00
       湯浅 誠 氏 『「すべり台社会」からの脱出 〜 貧困問題の本質に迫る 』

  ●2009年4月17日(金)19:30〜21:30
      塩見直紀氏『“半農半X”というライフスタイルで社会を変える! 』

   ★お申込→ http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_mosikomi.html

=============================================================

 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。

  先日3月29日は塾生プロジェクト活動のコンサルテーションでした。
日本で屈指の社会起業家であるNPO法人アサザ基金代表理事の飯島博氏。
市長時代に電子自治体化と大幅なコストダウンを推進した前佐賀市長の木下敏之氏。
そして、市民の立場から環境に関わり政策の代替案を国や地方に精力的に政策提言
し続けている一新塾代表理事の青山貞一。日本変革の最前線で戦われている3名の
講師の方々より本質を射抜く鋭いアドバイスをいただきました。
また、講師の方々の本気に触れさせていただくことで、私たちの本気が試される機会と
なりました。

 さて、今回は昨年5月に卒塾され、卒塾後も、小千谷・戸屋集落を行き来し、
現場主義での活動を実践されている第20期 新潟中越やまさと交流プロジェクトの
川良麗子さんよりメッセージをいただきました。

■■■■■■□ 塾生活動レポート──────────────
■■■■■
■■■■  『“困っていない”限界集落、さてどう支援する!?』
■■■
■■■■      一新塾第20期 新潟中越やまさと交流プロジェクト
■■■■■
■■■■■■□□□□□□□                川良 麗子
                     


●「限界集落は、困っていない」

「戸屋は限界集落だけど、ぜんぜん困っていない。
 困っていない人たちと、私たちは何をしたらいい?」

日本有数の豪雪地、小千谷・戸屋集落は、
5年前の中越地震で10戸となった小さな集落。
でも、小学生以下の子どもが9人、
さらに今年また1人子どもが生まれた、
0〜90歳までの、賑やかな限界集落です。

これまで、春と秋の道普請、お正月の賽の神、
さくら祭り、 用水路の2km耐久草取り、そして雪掘りなど、
交流を地道に続けて来た戸屋ファンクラブメンバー。
ところが、冒頭のような声が聞こえて来たところから、
私たちの2009年は幕を開けました。

●「農山村は疲弊している」、は本当か?

一新塾でのプロジェクト立ち上げ時、
どのチームでもやるように、
私たちも卓上の議論と拙い経験の中から、
ミッションと現状を言葉にしていきました。

現状
「農山村の過疎化、少子化、高齢化が加速し、
 活力が失われコミュニティに疲弊が起きている」

これは、果たして本当だったか?

過疎化、少子化、高齢化。
限界集落から体力を奪っていくこれらの要因は、
確かに戸屋集落にもあるのです。
ただ、私たちがこの目で見た集落は、
「疲弊している」などと口に出せないほど、
笑顔と明るさに満ちていました。

まず、子どもが生まれています。
去年、一昨年と集落では一人ずつ子どもが生まれ、
集落のある家には高々と鯉のぼりが泳いでいました。

お母さんたち、特によそからお嫁に来た方は、
意外にも、こんなことを口にします。
「ここは子育てしやすいわよ〜。
 大人はみんなとてもオープンだし、
 子育ての先輩がたくさんいるから、
 何かと言うとよく助けてくれるしね。」
つまり、ここで子どもを産む選択がしやすい、
人の手と目があるということです。

そして、高齢者であるじさばさも元気いっぱい。
70歳前後の隠居組も必ず集まりには顔を出し、
年長者として現役にきちんと意見を出します。
また、道普請などの共同作業にも、
必ず参加して現役と同等以上に仕事をしています。

確かにこの集落は10世帯だけになったけれど、
現役を支える層の厚い上の世代がいるために、
子育て、農作業、集落行事とが円滑にできるのです。

5年前の中越地震でライフラインが断たれても、
この世代が平気で山と畑に入っていって、
食料、燃料まで自給してしまったと言います。

「確かになあ、まあ今のところ、
 なんでも自分たちでできるしの」
戸屋はぜんぜん困っていない、そんな印象を
現役の役員の方に言ってみると、一笑にふされます。

「農山村は疲弊している」
その事実を目で確かめ、直に検証してみることなしに、
ミッションも実際的な解決策もないのだな、と
この"勘違い"にメンバーはやや面食らったのでした。

●突然、余命3ヶ月に

この1年の観察からわかったこの"勘違い"について、
私たちの戸屋集落で活動のサポートをしてくださった、
農林課の方に活動報告に伺ったときのこと。

「限界集落はね、いきなり余命3ヶ月になるんだよ」

そう言って、具体的な市内のある集落の話を
教えてくれました。

その集落は、一時、集落営農を検討していたほど、
比較的元気な集落と言われていたところです。
ところが、集落の役員数名が
高齢のために体調を崩したことをきっかけに、
集落行事、共同作業のまとめ役が不在となり、
一気に集落が消滅に向かい始めたのでした。

「限界集落は、そうは呼ばれても結構元気。
  じさばさも元気だし、山と田んぼがあれば
  道普請から大抵のことは自分たちでできる。
  でも、それもちょっとしたつまずきで、
  あっという間に担い手がいなくなって絶えてしまう。
  少し風邪をこじらせると、いきなり余命3ヶ月になるのが、
  限界集落なんだよ」

この言葉は、そのまま戸屋にも当てはまりました。

現役は、若いと言っても50代。
その世代が引退を迎えたときには、
集落を継ぐべき後継者は多くありません。
何より、田んぼを継ぐべき若い世代が
確かに戸屋にはいません。

これを聞いたときに、
私たちの次の活動は動き始めました。

●今のうちに貯金をしませんか?

今まであまり付き合いの薄かった、
現役の「せがれ」世代と話してみると、
まさにこの「余命3ヶ月」の感覚を共有
していることが分かりました。

「悔しいけど、親父たちのように
  田んぼや山仕事はぜんぜんできないから、
  一人前扱いされないのはしゃくに障る。
  でも、地震のときにも、あの人たちの
  お陰でここで生活を続けることができた。
  あの経験とか技術は受け継がないといけないよな。
  よそから来たあなた方がやるなら、
  おれたちも一緒に何か始めなければと思うよ」

この世代は、田んぼにはまったく触らず、
町に働きに出ているサラリーマンがほとんど。
それでも、この集落でずっと住み続けるには
自分たちが行動しなくてはいけない、と分かっていました。

「だったら、自分たちをダシにしてください!!」
困っていない集落にできることは何か考えていた私たちは、
「次の世代」のための貯金のために活動すればいいんだ、
そう吹っ切れた瞬間でした。

山ひとつあればあの地震だって乗り越えられた。
山からの恵みを摘み、加工して、
自分の手足を使って生活を作っていく。
その経験と技術、豊かな山との関係性を、
よそものの私たちをダシに使いながら、
現役やその上の年長者から受け継いでほしい。

きっとその貯金は、未来に生きるはず。
そして、その貯金は必ず、
私たち都市生活者にとっても大きな財産になるはず。

「まずは、田んぼからやりましょう」
そう約束をした私たちは、まもなく田起こしの春を迎えます。
今度は、「何か困り事を解決しよう」という態度ではなく、
「ひとつでも次の世代への貯金をつくろう」という思いで。

ということで、
この「せがれ」世代との田んぼ一年生プロジェクト、
棚田オーナーとして参加してくださる方を募集します。
5月の田植え、その他集落との交流に参加されたい方、
まずは戸屋ファンクラブMLへ参加してみてください。

戸屋ファンクラブ活動BLOG
http://blog.canpan.info/infotoya/

 

              一新塾 第24期 講座&説明会
■■■■■□─────────────────────────
■■■■    【 参加者募集中!〜東京・大阪・名古屋・福岡 】
■■■       
■■         『試練の時代を、根っこ力で突き抜ける!』
■■
■■■            〜人生と社会を変える!〜
■■■■    
■■■■■□─────────────────────────

 激動の時代だからこそ、突き抜けたビジョンを描き、個性と可能性を存分に発揮
して新しい時代を拓いていきましょう!

 一新塾では5月に第24期が開講します。第24期では、時代が求める人間力を
磨くプログラムをご用意させていただきました。映像を交えながら、一新塾で
どのように学び、どのように仲間と切磋琢磨し、どのようにアクションしていくのかを、
わかりやすくお伝えさせていただきます。

 ご関心ありましたら、ぜひ、お気軽にご参加ください。

 【主な内容】---------------------------------------------------
      ●「自分の人生」と「社会の現実」を交じり合わせる現場主義で学ぶ
      ● 試練の時代こそ、ミッション基軸で社会変革!
      ●「根っこ力」のある人・ない人
      ● 社会の問題解決フレームワーク「6つの箱」
      ● 一新塾で生まれた『プロジェクト羅針盤〜タテ軸・ヨコ軸』理論とは?
      ● 誰もが社会創造に参加できる「志のコミュニティ」とは?  
      ● 一新塾で学ぶ1年間でどう変るのか?(学び、成長、発見、出会い)
      ● OB/OGとの交流タイム・質問タイム
   -----------------------------------------------------------

━━━━━━━
●東京会場
━━━━━━━

 日 時:2009年
      (1)4月 8日(水)19:30〜21:30
      (2)4月11日(土)15:00〜17:30
      (3)4月15日(水)19:30〜21:30
      (4)4月19日(日)15:00〜17:30 ほか

 会 場:一新塾セミナールーム
     [住所] 東京都港区芝3-28-2カスターニ芝ビル2F

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)
  
 参加費 : 無料・要予約 お申し込みページ→

━━━━━━━
●大阪会場
━━━━━━━

 日 時:2009年4月25日(土)13:30〜16:00

 会 場:難波市民学習センター 第3研修室
      [住所] 大阪市浪速区湊町1丁目4番1号 OCATビル4階

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料

 参加費 : 無料・要予約 お申し込みページ→

━━━━━━━
●名古屋会場
━━━━━━━

 日 時:2009年4月26日(日)13:30〜16:00

 会 場:名古屋芸術創造センター中会議室
      [住所] 名古屋市東区葵一丁目3番27号

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料
  
 参加費 : 無料・要予約 お申し込みページ→

━━━━━━━
●福岡会場
━━━━━━━

 日 時:2009年4月29日(水祝)13:30〜16:00

 会 場:アクロス福岡 609会議室
      [住所] 福岡市中央区天神1丁目1番1号

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費 : 無料・要予約 お申し込みページ→
  

 

 


一新塾ニュース「今のニッポンを変えろ!」メールマガジンのページに戻る