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      一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
     【第177号】 発行日:2005年3月15日

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▼目次
■『まちがよみがえる〜福岡県赤池町を訪ねて』 宮寺卓氏(第13・15期生)
第16期説明会がいよいよスタート!!→お申し込み
 (1)3月29日(火) 19:30〜21:30
 (2)4月 2日 (土) 15:00〜17:00 ほか            
■ イベントのお知らせ
(1)「一新塾入門ワークショップ〜新しい社会の問題解決手法を体験!」
(2)「『政策担当秘書』へのご招待!」
         4月15日(金)19:30〜21:30
http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_mosikomi.html
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
一新塾でのチームプロジェクト活動は“現場主義”をモットーにしています。
“現場主義”とは、自分で実感すること、五感すべてをフル稼働させて感じる
こと。答えは議論によってではなく「現場」に問うことで見出していきます。
問題が起こっている場に実際に出向いてみると、書籍で学んだことやテレビで
見て感じていたことが、ガラガラと音を立てて崩れ落ち、一瞬にして新たな
認識を得ることができます。
今回は13期・15期生の宮寺卓さんより、福岡県赤池町での現場視察報告記が
届きましたので、ご紹介させていただきたいと思います。

一新塾生の活動レポート ◇■■■◇■■■◇■■■◇■■■◇■■■◇
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まちがよみがえる〜福岡県赤池町を訪ねて

◇■■■◇■■■◇■■■◇■■■◇■■◇宮寺 卓(13、15期通信科生)


去る2月中旬、平成になって唯一財政再建団体から見事再建を果たした、
福岡県田川郡赤池町を訪問した。当日は雨天にも関わらず季節外の暖かさで
コートも不要な陽気であった。博多駅からJRで約1時間の筑豊本線直方駅
から平成筑後鉄道に乗り換え15分ほどで目的地の赤池駅に着いた。同駅に
降り立つ乗客は私を含め3人で、いくら平日の昼間といえ寂しい限りである。
もちろん無人駅であるが駅前には「童謡と焼き物の町赤池」の看板があって、
観光案内しますというタクシーも停車していて、観光のまちとしての雰囲気
があった。

駅から歩いて10分ほどの町役場を訪問した。時間は正午前で職員の方は
日常業務に就いており、住民の方の訪問もあって結構活気があった。但し、
正午の合図と共に庁内の電気が一斉に消され、職員も一部の電話当番を除い
て職場を離れて昼休みに入った。住民もその辺りの事情を知っている様であ
る。役場を出て近くの食堂で昼食をとるが役場の職員は見あたらない。食堂
の人に聞くと職員の皆さんは仕出し弁当か持参が多いとのことであった。
昼食後役場に戻り財政再建の担当部署である企画財政課の課長さんより
約1時間、同町の約10年間の財政再建の取り組みについての話を聞いた。

ここで同町が準用再建団体へ陥った経緯をまとめておきたい。
赤池町は福岡県北東部の筑豊地域に位置し、明治以降筑豊産炭地として明治
鉱業株式会社赤池鉱業所の炭坑を中心に栄えた。

最盛期の昭和30年代後半には人口2万人近くまで達したが、その後石炭
から石油へのエネルギーの転換から炭坑の閉山が余儀なくされて、若者を
中心とした働き盛りの人々が流出し、現在の人口は8,000人までに落ち
込んだ。

赤池町では鉱害復旧費をはじめとする助成金で、新たな産業の誘致、住宅
の確保等をするため土地開発公社を設立して工業団地と宅地の分譲地を開発
したが、炭坑閉山後の地盤沈下、鉱害地となった町有地の復旧等で経費がか
さみ、企業誘致も進まず平成2年度末には22億円の負債をかかえてしまった。
同時に人口減、炭坑閉山による税収の著しい減少と町立病院をはじめとす
る公共施設の維持管理費の増加等で平成3年度には町の赤字額は32億円に
達し、自主再建を断念して平成4年2月に準用財政再建団体に転落した。

赤池町の12年がかりの再建策では、歳入確保と歳出削減を二本柱に据え
た。まず取り組んだのが、職員の人件費削減で、16あった課を13まで減
らし、行政組織の統廃合を徹底した。169人いた職員も155人に削減。
給与の据え置き、時間外手当の削減、返上も行った。町長はじめ特別職の
報酬も全国最低レベルとし、平成12年には議員定数も18人から2人減ら
し16人にするなど、徹底的にスリム化に努めた。

課長さんの話によると計画では想定される定年退職者の数を基に新規採用
数を抑えて段階的に人員削減する予定であった。ところが、役場の業務の
徹底的な見直しを行ったところ、当時の在籍していた課長、係長等の管理職
が自らの業務改善が急務であると認識して、自発的に退職して後進にポスト
を譲った。その結果、人件費削減の目標が初年度で見通しが立ったとの事で
ある。退職された方はその後住民活動(ボランティア団体)のリーダー的
役割を担った方もいる。

一方住民の負担増加についても、水道料金をはじめ町営プール、野球場、
町民会館等の公共施設の使用料、町営住宅の家賃もそれぞれ10〜20%
値上げし、歳入増を図った。更に老齢年金を半減にするなど福祉予算も相当
厳しい見直しがかけられた事も強調された。

住民も行政を頼らず自立しようという機運が高まり、町内にボランティア
団体が増えた。これは住民が持っていたふる里や地域を愛する気持ち、行政
が出来ないことを出来ないからやらないのではなく気付いたこと、出来るこ
とからやろうという気持ちがボランティア活動という具体的な行動となって
表れた。また、ボランティア活動している人々が学校を訪れ、子供達にボラ
ンティアとは何かを定期的に課外授業で教えている。この結果、実際に小中
学校では、清掃活動、老人介護をはじめ多くの活動が行われているとの事で
ある。この様に、ボランティア活動の輪は町民レベルで着実に広がっている
様だ。

愛するふる里の良さを見直そうという気運も高まり、同町の伝統的工芸品
である上野焼の振興に力を注ぎ、「緑とやきものと文化のまち赤池」を基本
理念とし、同時に「童謡のまちづくり」として各種イベントを開催し、観光
客誘致による町おこしも進めているとの事である。

この様な町をあげて努力した結果、赤字解消は順調に推移し、平成10年
度の収支は3億円の赤字まで圧縮され、その後の歳出削減の努力により、
当初の計画より2年短縮して、平成12年度で再建期間を完了することが
出来た。

以上課長さんの熱のこもった話を拝聴した後、赤池駅に戻りタクシーで
伝統的工芸品上野焼の窯元を訪れた。上野の里ふれあい交流会館で町内産の
野菜を販売していた方の「4月になったら桜も咲くし、陶器まつりもあるの
で、また来なさい」という言葉がとても印象に残った。徒歩で約1時間の道
のりを駅まで戻り列車で赤池町を後にした。

訪問して感じたことは行政が出来ないことを「出来ないからやらない」の
ではなく「気付いたこと、出来ることからやろう」という意識を持ち、具体
的な行動を起こすことによって「まちがよみがえる」という事例を学ぶこと
が出来た。



■■■一新塾第16期 5月開講 説明会スタート!!■■■■■
      〜新しい時代を拓く知恵をお伝えします〜

第16期は5月28日(土)に開講いたします!
下記のとおり、第16期説明会を3月末より開始いたします。
一新塾で取り組んでいる「カリキュラム」や「プログラムの詳細」や「OB・OG
の方の活躍」「 講師の方との関わり」など映像を交えて事務局長から紹介させ
ていただきます。また、現役生、卒塾生の方にもお越しいただき、多様な視点
から一新塾の教育プログラムをご紹介させていただきます。
ぜひお気軽にご参加ください。

【説明会の主な内容】
●主体的市民になる方法?!(自律→切磋琢磨→協働)
●座学&チーム活動2本立ての行動実践型教育 
●主体的市民への5段階とは?
●ファシリテーター型リーダーシップとは?
●一新塾オリジナル問題解決フレームワーク
●OB/OGと語ろう!
日時:(1)3月29日(火) 19:30〜21:30
 (2)4月 2日 (土) 15:00〜17:00 ほか
第16期説明会へのお申し込み→→
会場:一新塾セミナールーム
[住所]東京都港区芝3-28-2カスターニ芝ビル2F
[地図]http://www.isshinjuku.com/01issin/i_chizu-1.html



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