塾生の声

一新塾卒塾生からのメッセージ

徳丸ゆき子 氏

認定NPO法人CPAO理事長
一新塾30期卒塾
一新塾OG講師

◎入塾前は、NGO職員
→子どもの貧困を解決する活動団体を立ち上げ


「子どもの貧困問題にアクションを」

私は小さい頃、登校拒否児でした。お遊戯しましょうといわれても、「いやです」と協調性がありませんでした。
一方、私は「なんでみんなと同じようにできへんのやろ?私なんか変やわ」とだんだんふあんになってきて、中学になって学校に行けなくなってしまいました。しかし、親も学校に行け行けという人じゃなかった。「学校行った方がいいけど、いかんでもいい。自分のためやからな」と多分ハラハラしていたと思うけど、親は強くは言いませんでした。

そして、いろんなん人たちの支えがありました。両親共働きで、私が部屋の中にいると「一人でおったらあかんよ」とおばちゃんが連れ出してくれ、犬と遊んだりしていました。塾は行ってました。唯一、友達がいたから。唯一の居場所でした。20歳の頃、「こんな私が大人になってしまった。大丈夫か、いっそ死んでしまおうか。でも死んだらあかん。親も、いろんな人も支えてくれている。私は何ができるんやろ?そうや、私みたいな子どもの為なら不登校の子どものためなら、なんでもできるんちゃうか」と思いました。

それから子どもの支援の仕事をずっとしてきました。最初はニート・不登校・引きこもり支援のNPO法人で5年活動しました。子どもたちは、いろんなテーマを抱えていて。不登校の子どももいっぱいいます。電話は親からひっきりなしにあるし、行っても行っても出会われへんし、その中で私も打ちひしがれてゆく。

次に、もっといろんなことを勉強したほうが直接支援できるかもしれないと国際協力NGOに転職。それが、セーブザチルドレン。10年活動しました。日本では遅れている子どもの社会参加。2002年にキャンペーン担当として採用され、子どもの声を聞いて社会に届ける政策提言をしていました。リーマンショック後の2009年からは、子どもの貧困をテーマに大阪の子どもたち10人の話を聴いてとりまとめて、貧困がどの程度子どもたちに忍び寄っているのかニーズ調査をして、霞が関に「貧困の対策」を要望していました。

そこに東日本大震災が起こりました。国際協力のNGOだから日本のスタッフは少ない。「行ってください」 と言われ東北へ。1年間通いました。目の前の惨事、打ちひしがれている人に背中をさするのがせいいっぱい。子供の声を聴いて「何がこまってるの?」「どんなサポートがあれば助かるの?」と聴いて回りました。

私は息子が3歳の頃からシングルマザーです。この東日本大震災の被災地に息子を東北に連れて行きました。1~2週間行っては1週間帰ってくる。子供のために何かできないかと始めた活動だが、自分も子供もきゅうきゅう。仕事終わったらずっとダッシュ。保育園に迎えに行き、スーパー行って、家帰ってごはん炊いて、ずっと追われています。組織では「子どもの貧困事業は当面できない」と言われました。「貧困の問題もやりたいし、息子の為にも。それやったら自分でやろか!」という気持ちが湧いてきて、一新塾の門を叩きました。一新塾では「子どもたちの一番のニーズはなんやろ?一番何をすることが必要なんやろ?」といろんな人たちに聞いたり調べたりしました。

一新塾では様々な事業プランを考えましたが、2013年5月24日に大阪市北区「母子変死事件」(餓死)が起こったので、次の日に一新塾の仲間と「大阪貧困子どものアクショングループ」を立ち上げました。一新塾卒塾式の直前でした。

多くの方が、子どものころから結婚をしてから、自身の事、両親のこと、元夫の事、子どものこと、お金のこと、さまざまに絡み合った問題を一身に抱えておられます。仕事をいくつ掛け持ちしても、経済的に困難な状況から抜け出せないのは、彼女らだけの問題なのでしょうか?DVから逃げ、子どものためにと休みなく働き、身体を壊しても、それは自己責任なのでしょうか?私は、分からへんから聞くのです。

セーブザチルドレンの協力も得て、シングルマザー100人調査が決まりました。シングルマザーの親子が、丼サポートを求めているのか、成育歴から現在の生活状況まで一人2時間かけて100人の方をインタビューしてゆきました。

いまも、子ども食堂など、大阪市生野区で子どもの声を聴き、心ある人とつながりながら子育ちをサポート、親子の問題をまるごとサポートすることで、抱えている問題を共に乗り越えるアクションをし続けています。

団体は、2016年にNPO法人化し、2018年に認定NPO取得しました。

「まずは ごはん ささえあう社会への、はじめの一歩」 出版 徳丸ゆき子 著、編集 2018年8月

2020年に第6回 糸賀一雄記念未来賞を受賞。

2021年4月より「CPAO WORKS/シーパオ ワークス」としてシングルマザーや若者を中心とした就労サポートも始めました。

◎NPOと認定NPOの違い
NPO法人が、比較的形式的に「公益性ある団体であるか」を判定して認証されているのに対し、認定NPO法人はより高い税制優遇を適用するために「より客観的な基準において、高い公益性をもっている」ことを判定された法人。

(上記文章は「人生と社会を変える根っこ力」(2017)より抜粋しています)

徳丸ゆき子(認定NPO法人CPAO理事長)

認定NPO法人CPAO


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