一新塾卒塾生からのメッセージ
堀田 卓哉 氏
株式会社Culture Generation Japan代表
一新塾27・29期卒塾
一新塾講師・OBアドバイザー
◎入塾前は、会社員
→ 伝統工芸ビジネスプロデュースで起業
「伝統と文化に誇りを見出す社会を目指して」
「このままサラリーマン生活で人生をすり減らしていいのか」
「自分を変えるきっかけが欲しい!」、
そんな想いから入塾。
ミッション探究ワークショップやチーム活動(東京本科のプロジェクト立ち上げ体験のプログラム)ではメンバーや講師陣から砕かれ、サラリーマン時代に培った価値観をゼロに戻された場が一新塾でした。そして、ゼロになった時に見えてきたミッションは「日本の伝統や文化に誇りを持てる社会を同世代の仲間と創る」ことでした。
ミッションを軸に起業し、東京都美術館と伝統工芸品に新しい価値創造を試みるプロジェクトを展開する機会にめぐまれました。その後、ご縁があり、ジャパンブランドの未来をつくる「JAPAN BRAND FESTIVAL 」の企画運営に。
入塾される皆さんと共に、社会変革への挑戦ができることを楽しみにしています。
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以下、「人生と社会を変える根っこ力」(2017)より抜粋文章のご紹介
【日本人の利他の精神】
「What do you think of Japan?」(日本についてどう思う?)
このような問いかけを外国の方にすると、多くの方は、肯定的なコメントをしてくれます。先日もイギリスのビジネスパートナーに同じ問いかけをしたところ、「自己中心的な世の中で、日本文化だけが、利他の精神をもっていて素晴らしいよね」という回答でした。私は正直なところ、その回答に戸惑いました。「今まで大切にされてきた色々な文化が無くなろうとしているなかで、日本人はまだ利他の精神を持ち続けていると胸を張って言えるのだろうか・・・」
【日本の伝統工芸産業】
私は日本の伝統工芸や文化を海外市場に向けて発信し、販路開拓を支援する事業をメインにしています。日本には、素晴らしい文化や伝統がたくさんあります。しかしながら、日本文化を支えてきた大切な「土壌」の一つである職人の多くは、販路減少、後継者不足に悩み、廃業の危機に瀕しています。職人の方に話を伺うと、「息子に家業を継がせたいと思うが、今の状態で家業を譲るのは可哀そう」「この技術はもう俺で終わりだな」という声を聞く機会が多くあります。
伝統工芸産業は、この20年で約3分の1の産業規模となり、その下降カーブは加速していく一方です。これから5年後にどれだけの「本物」が残っているのか。例えば日本の民族衣装である「着物」。今でも、多数の商品が中国やベトナムで縫製されています。「『日本製の着物を残す』ことにどれだけの意味があるのか?」と聞かれることもありますが、受け継がれてきた伝統や、技術が失われることは、日本人のアイデンティティの一つが無くなってしまように私は感じます。
いま世界中の人たちが「現代の大量生産、大量消費のサイクル」から脱して、新しいライフスタイルを生み出していかないといけないと漠然と感じています。ただ、その新しい未来の姿を提示しえるような伝統産業は、日本ぐらいしか残っていないのではないかと感じています。日本は、昔から新しいスタイルに変化していくことを受け入れつつも、今まで培ってきたことをきちんと伝承していくというマインドをもっています。「日本人としてどのような新しいライフスタイル・文化を発信していけるのか」が世界に問われている事でもあり、期待されている事だと考えています。
【世代間でバトンを渡す】
私は1977年生まれの40歳、いわゆるロストゼネレーション世代とも呼ばれる年代です。バブル崩壊後に成長し、テレビでは暗いニュースばかりが毎日流れていました。次第に「日本ではなくグローバルに活躍したい!」という想いを抱くようになり、アメリカ、ヨーロッパへ渡りました。しかし、現地では、海外の友人から日本文化が高く評価されていることを知り、初めて「自分は日本人なんだ」と誇らしく思ったことを覚えています。
そして、帰国後に住むことになった浅草では、同世代の職人と出会い、彼らの思いに触れました。「何百年と続いている伝統を俺らが終わらせるわけにはいかない。俺らの仕事は文化・伝統を受け継いで、より良いものとして次世代に引き継ぐことだ。」この一言に、私は痺れました。私は形あるものや外の世界ばかりを追い求めてきましたが、本当に大切なものは、日本の中に、自分の中にあったのだと気が付きました。一方で、「新しいことに挑戦したい」「世界で勝負したい」と思いながらも「伝統」の枠から出ることができないもどかしさを職人の皆さんが持っていることを知りました。私が磨いてきたビジネスの専門性を生かして、職人の皆さんと共に歩み、文化・伝統を次世代につなぐことをビジョンとして2011年9月に「株式会社Culture Generation Japan」を設立しました。
【一新塾、そして最初のプロジェクトとの出合い】
入塾当初の私は、今のように方向性が定まっていることも無く、漠然としたモヤモヤを抱えているだけでした。プロジェクトを進めれば進めるほど、「自分の本当にやりたいことは何なのだろうか?」「お金のためにやるのか?社会を変えたいからやるのか?」といった自問自答を繰り返し、ミッション・ビジョンを深掘りすることに苦しみながらも、チームメンバーからの叱咤激励を受け、自分の「根っこ」は、いつの間にか深くなっていきました。当時在籍していた会社で「退職する理由は、dン等工芸や文化を世界に発信したいからです」と真顔で語る私に、上司は呆れ果て、まともには取り扱ってくれませんでした。一新塾のメンバーだけが、私のミッション・ビジョンを真摯に受け止め、一緒に育ててくれました。
この仲間と「根っこ」を掘る深さの分だけ、自分の覚悟の深さにつながり、今でも、事業を継続できていることに繋がっているのだと思います。とはいえ、会社設立後、すぐに仕事があるわけでもなく、ありとあらゆる人に、自分のミッション・ビジョンを語る毎日が続きました。そして偶然の出会いから、東京都美術館の事業で「Tokyo Crafts &Design」の事務局チームに加わることができました。
(続きのストーリーは一新塾講義で)
堀田卓哉(株式会社Culture Generation Japan代表)
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