■ 塾生活動レポート
■一新塾第34期(2014年5月開講)のお知らせ
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
今回は白根邦子さんのメッセージをお届けいたします。
現在、障がい者施設でお勤めの白根さんは、“全ての人間の価値がお互いに認められる共生社会”の実現を目指して2012年5月に一新塾第30期に入塾、8月に4名の一新塾メンバーとともにプロジェクトを始動。2013年5月の卒塾式では東京本科チーム活動の中で主体的市民賞(塾生による投票)と最優秀理事賞をダブル受賞され、参加者からもっとも共感を得られました。
卒塾後、OBOGコースで学びながら活動を続けられ、”障がい者施設で作られた上質な商品(ウェルフェアアトレード商品)を通じて障がい者は弱者ではなく良いものを作る生産者として多くの人に知って欲しい”との思いで、2013年7月に、一般社団法人happy choice(ハッピーチョイス)を設立され、ますます志を生きる道を邁進されています。
心に響く白根さんのメッセージをお届けさせていただきます!
◆◆塾生活動レポート━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆
~全ての人間の価値がお互いに認められる社会を目指して!~
一新塾第30期・第32期 東京本科 白根邦子◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆
現在私は障がい者施設へ勤めています。主に知的障がい者の入居している寮で生活支援をしています。
私が描く理想の社会ビジョンは、障がい者(マイノリティ)に対し関心のある社会、障がい者が自分の力を発揮し活躍する社会、人間をある一方向から見た評価だけではなく多面的に見て評価する社会です。
それは「全ての人間の価値がお互いに認められる社会」であり、私はその社会の実現を目指します。
しかし、社会の現状は、マイノリティ(社会的弱者)やマジョリティ(社会的強者)という関係で成り立っている社会、人間を一方向から見て評価する社会です。
3年前仕事で60代の累犯障害者(繰り返し犯罪を犯して収監される障害者)男性との出会いがありました。
彼は劣悪な生育歴の中で障がい者手帳は取得していませんでした。仕事をしてもなかなか理解できないため「使えない、できない」と言われ仕事を転々して、行き着くところは路上生活でした。おにぎり一個の万引き(窃盗罪)や無銭飲食・無賃乗車(詐欺罪)のような微罪で、繰り返し刑務所に入ることによって生き延びていました。障がい者と気が付かれないことにより適正な支援を受けることができなかったのです。
私が刑務所生活のことをその男性に聞くと「刑務所では毎日3食食べることができ、仕事もあるので入っているときは安心した」と言いました。
彼が今まで社会の中で生きてきて、彼(IQ32)を障がい者だと気が付き公的機関へつなげる人がいなかったのか? 社会は変わった人や障がい者かも知れない人に対して関心がないのか? 無関心による弱者排除の社会でいいのだろうか?
疑問が湧き上がってきました。
私は施設という法律の枠組みの中での障がい者支援をしているだけでした。しかし、それでは障がい者の置かれている根本の問題解決にはならない、と思い一新塾の門を叩きました。
私の父は町工場の旋盤工をしていました。「この社会は中小零細企業で成り立っている」と言い仕事に誇りをもっていました。しかし景気低迷で工場はどんどん潰れていきます。そのやるせなさをお酒に頼る父。母は福祉の仕事をしていました。しかし他人は幸せにできても家族は幸せにできない「福祉」は偽善だと思いました。家庭はいつの日か冷えきっていました。私は父と母の間に立ちいつも調整役、しっかりした子を装い、しかし心の中では「自分はかわいそう」と思っていました。
最初の就職は電気機器メーカーでした。そこでは売り上げの数字が全てでした。売り上げの数字で仕事の評価だけではなく、人間性までも数字で評価される、疑問を持ちました。
その時期、(20年以上前)車椅子の人と旅行に行くボランティアに 参加しました。
初めて車椅子の人と一緒に外を歩くと、段差、駅の階段、ドアが狭くて入れない店、夜一緒に居酒屋に行くと「障がい者は 夜遊びするんじゃねえ」と言われました。
私たち健常者にはできて、障がい者にはできないことが社会にあることを知り社会の矛盾を感じました。
このことがきっかけで会社を辞め、障がい者施設へ転職しました。そこは重度の知的障害者施設でした。何もできないかわいそうな障がい者と幼少の頃のかわいそうな自分とが重なり、何かをやってあげたい、救ってあげたいという気持ちで障がい者の人と接していました。
しかし関わっていく中で、その人たちは嬉しい時は笑い、嫌な時は怒り悲しむ、喜怒哀楽を素直に出し、数字で 人を評価するのではなく、本当に自分のことを思って支援してくれているか、人の内面を見て評価していました。
私は、本当の自分を出していいのだ、評価てくれる人がいるんだと思い、心の奥底にあったかわいそうな自分が障がい者の人に救われました。
また父と母を許せていました。
障がい者は、社会では生産性がなく何もできないと思われていますが、私と同じように障がい者に接し救われた人はたくさんいます。人の心を動かすその人の能力であり仕事なのかも知れないと思いました。
ある時友達とレストランへ行きました。そこで飲んだのは栃木県の障がい者施設で作っているワインでした。「沖縄サミット」にも出されたワインです。
障がい者のことを知らない友達にそのワインの話しをすると「障がい者ってすごいんだね、こんな美味しいワイン作るんだ」と言いました。友達は障がい者のことを生産者として位置づけ、美味しいものを作る人としてすごい人と思ったのです。
一般社会の働き方にあわせられない障がい者は無理に合わせることはなく、障がい特性を生かしその人に合った仕事がきっとある。
人間は目に見える側面だけで価値を決めるのではなく、その裏や内面に本当の価値があり、これは、障がい者だけの問題ではなく全ての人間の価値基準に関わること。
もっと身近に生活に直結する方法で、障がい者だけでなく全て人の能力が発揮できる共生社会を作ろうと決心しました。
全国の障がい者施設にはその土地ならではの製品を作っているところが沢山あります。それらは農薬や添加物は極力使用せず、安心、安全、丁寧に作られた上質な製品ですが多くは市場に流通していないので、私たちは買うことができません。
そこで、これらの製品を市場に流通させ手に取りやすくしていき、良い製品を作る生産者として障がい者を位置づけていくのです。障がい者との関わりを増やしていきます。
早速、鹿児島で地方の特色を生かし養豚を行っている施設を訪問しました。養豚作業を見させてもらうと、餌にもこだわり本当に丁寧に育てています。味もいいです。東京の消費者に納得してもらえると思いました。
2回目、今度はメンバーと再度鹿児島へ行きました。養豚業を行っている生産者である障がい者の働き方や、人生を取材するために1泊2日、一緒に養豚業を行いました。製品と生産者のストーリーを消費者へ伝えるためです。
そこで働いている自閉症の方は、豚が大好きですが餌をやることもフンの始末をする仕事もしません。ただ毎日同じ時間に豚舎へ行き豚を撫でかわいがっているのです。豚は人と触れ合うことでストレスが軽減され良い肉質となります。その人も良い肉を作る生産者の1人なのです。ただ豚と遊んでいるだけのように見えますが、その人の役割があるのです。
東京に帰ってくると今度は、それを使ってくれるレストラン探しです。何軒も使ってくれるよう話しに行きましたがダメでした。そして一軒、南青山のレストランで試しに使ってくれることになりました。メニューに「鹿児島花の木ポーク」と書いているのを見たときは、施設の人たちの笑顔が浮かんできました。
そして、一般社団法人happy choice(ハッピーチョイス)を4名のメンバーと共に立ち上げました。現在、定期的にイベントを開催して私たちの協力者を増やしているところです。
社会を変えていくと決めて、小さな小さなこと一つするのにも自分との戦いです。これでいいのだろうか?自分を信じて行動し続けることの難しさ、しかし私が辞めたら誰がやるの?だから続ける。それを支えてくれるメンバーと共に。
障がい者(マイノリティ)に対し関心のある社会
全ての人間の価値がお互いに認められる社会を目指して!
私が出会った60代の累犯障害者、現在は施設でパンを作る仕事をしています。
「寝る所と、食べることと、仕事があってお客さんが買ってくれる、今の生活いいですよ」ボソッと話してくれました。
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一新塾 第34期(2014年5月開講)のお知らせ
http://www.isshinjuku.com/
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次回一新塾第34期は2014年5月に開講予定です。
「一新塾体験ワークショップ&説明会」は2014年3月よりスタートします。
1月よりご予約をホームページで受付させていただく予定です。
【プログラム】
東京本科:
http://www.isshinjuku.com/curriculum/tokyo.html
大阪地域科: http://www.isshinjuku.com/curriculum/osaka_nagoya.html
名古屋地域科 : http://www.isshinjuku.com/curriculum/osaka_nagoya.html
仙台地域科: http://www.isshinjuku.com/curriculum/sendai.html
通信科:
http://www.isshinjuku.com/curriculum/content.html
一新塾Facebookページ・twitterでも、日々、メッセージを発信していますので、ごらんください。
●一新塾Facebook:http://www.facebook.com/isshinjuku
●一新塾twitter : https://twitter.com/npo_isshinjuku
< 一新塾「第34期」概要 >ーーーーーーーーーーーー
◎開 講:2014年 5月
◎期 間:12ヶ月
『多彩な社会のテーマ講座』
『ミッション基軸の社会変革プロジェクト立ち上げ』
『コンサルティング』
平日夜間・土日で学びます(月4~5回程度)
◎コース:政策提言コース
社会起業コース
市民プロジェクトコース
※3つの方法論のすべてが学べます。
◎ 科 :本 科(東京)
地域科(大阪・名古屋・仙台)
通信科
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