2011/4
/13 【一新塾ニュース】第445
塾生活動レポート「『自助カルテ』で実現するやさしい思いやりに満ちた医療 」 


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        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第445号 】 発行日:2011年4月13日

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■ 塾生活動レポート

   「『自助カルテ』で実現するやさしい思いやりに満ちた医療 」

                         一新塾第26期本科 木暮裕

■【参加者募集】「第28期説明会」2011年5月29日(日)開講

(参加予約)→ http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

●東 京:4月13日(水)19:30〜21:40【定員になりました】
      4月16日(土)15:00〜17:30
      4月20日(水)19:30〜21:40
      4月27日(水)19:30〜21:40
●大 阪:4月23日(土)13:30〜16:00
●名古屋:4月24日(日)13:30〜16:00

※東日本大震災義援金として第28期の入塾金の10%を寄付させていただきます。

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
一新塾では、塾生のミッション基軸で、毎年約40のプロジェクトが誕生
しています。
一新塾のプロジェクトは、市民の、市民による、市民のためのプロジェクト
です。そして、このプロジェクトに自分の人生を注ぎこみます。身を投じる
姿勢こそが、人を巻き込み社会を変革するエネルギーになるのだと思います。

26期生の木暮裕さんは、医師の立場から、市民との協働で社会変革に挑んで
います。昨年8月に「自助カルテ」プロジェクトを立ち上げ、5月の卒塾に
向け、日々、プロジェクトメンバーと切磋琢磨されています。
今回は、木暮さんが志を貫き社会変革に挑む物語をお伝えさせていただきます。

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■■■■   塾生活動レポート
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■■      「『自助カルテ』で実現するやさしい思いやりに満ちた医療」
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■■■■                          一新塾第26期本科
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 理工学部在学中にプロボクサーになった。闘うことで充実し、何か行動すれば
意味は自ずと生じると考えていた。しかしやっと勝ちとった勝利の後に残った
のは虚無感だった。自分のための努力では、自分は救われないことに気がついた。

 そして練習中に負った鼻骨折の手術を受けたとき、医療のありがたさに感謝
した。医者になりたいと考えるようになり、やっと医者になった。

 救命医療に従事し、スーパードクターになれると思って頑張って仕事をして
いたが、モチベーションを保てなくなった。いわゆる燃えつき症候群だったと
思う。私は挫折した。

 自分の時間を持てるように職場を変えたが、自分の生活に柱と呼べるものが
ないことに気がついた。自分の中に空いた大きな穴。自分を満たすように試行
錯誤していたが、ようやく気づいたのは人の役に立ちたいと切に願う自分が
いることだった。そして、人の役に経つことで救われるのは自分だと気がついた。
自分という資源を使って何が出来るのか?それを探るために一新塾に入った。

●「自助カルテ」プロジェクトを立ち上げる

 講義では、講師が描く理想と講師自身がやりぬく必要性を語ってもらえた。
プロジェクトには明確なこの二つが必要なのだと理解した。そして何よりも
変革者たるその人物の強さ、障害を乗り越える力に成功の秘訣があることが
解った。

 "自助カルテ"という患者が自分で記入するカルテを用いて健康状態と将来
像について再認識を促すというプロジェクトを立ち上げた。生活習慣病などの
結果として生じる脳血管障害や心筋梗塞などにならないで生を全うすることを
目的としていた。行政でやっている健康手帳となにが違うのだと思う方が多い
と思うが、ここでの説明は割愛する。
興味があればホームページを見て欲しい。 http://www.jijokarute.com/
現在自助カルテを薄くして、無料で配布できるように企画中である。
(無料になったら東日本大震災被災地にも配れるか検討中)

 試作品を作り、患者に配ったところ、生活を変えてくれる人もいた。けれど
も、とても変革をもたらすことはできそうもなかった。患者が自助カルテを
使わなければならない積極的な理由が必要だと気がついた。医師が患者を導く
ように自助カルテを使うように促す方法も必要だと考え、市の医師会雑誌に
投稿し、自助カルテを用いて患者に主体性を持たせ、患者の意識を変えていこう
と説いた。共感してくれる先生もいた。これからも積極的にアピールして行こう
と考えている。

 しかしその一方で自分の患者は自助カルテを使い続けてくれている。主治医
が患者に健康でいて欲しいと願う気持ちに応えようとしてくれる。そんな患者
とのやり取りの中で、家族がコメントを寄せてくれるようになった。医者と
家族で患者本人の健康を案じ、言葉をそえる自助カルテは診察のたびに新たな
喜びがあった。

 患者と家族と医療者がみんなで繋がり、患者への思いで一つにまとまれたら、
やさしい思いやりに満ちた医療が実現できるのではないかと考えた。まだうまく
伝え切れていない。今後、広報などについて考えを深める必要があるのだと
思っている。

●助けるべき対象者が明確になる

病院と地元の町内会で健康セミナーを開いた。医療用コミュニケーション
ツールの必要性と高齢者の入院で問題となる延命治療などについて話をした。
参加者の強い関心を引いたのは死についての話だった。医者が死について語る
ことは誤解を生みそうで避けようと考えていたが、医者にもっと死を語って
欲しいと思う人が大勢いることを知った。

 そして最近、自助カルテを使って助けるべき対象者が明確になった。辛く寂し
く死んでいく日本の高齢者だ。恵まれない人たちの話ではない。寂しく死んで
いく老人があまりにも多いのだ。死ねずに苦しむ老人たち。親の死というリスク
を取れない家族。自分らしく死ぬことを貫けない個人。この人たちに暖かな死
を迎えさせることが自助カルテの使命だと気がついた。
わたしの理想とする死は、「天寿を全うし安らかに家族に見守られてわが家
で迎える死」だ。共感する医療も家族の絆も病気に対する自助意識も全てがこの
幸せな死ともよべる温かな死に集約される。これからの人生をかけて医師として
死をかたり日本人が幸せに死ねるように尽力していきたいと思う。

 プロジェクトをはじめて7ヶ月半。本当に試行錯誤の連続だった。現場で砕かれ
メンバーとともに思案、企画しここまでやってきた。チームと書くと形式的で
抵抗がある。理想を同じくする仲間、同志。真剣に向き合い切磋琢磨していく
同志とともに自分も成長していきたいと思う。

大げさに聞こえるかも知れないが、一新塾に来て自分は本当に変わったと思う。
自分を生かすことが出来るようになった。感謝の気持ちをこの場を借りて伝えたい。


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