2010/10
/12 【一新塾ニュース】第433号:
 塾生活動レポート 『子ども虐待予防プロジェクト』

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          一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第433号 】 発行日:2010年10月12日
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■ 塾生活動レポート
         『 子ども虐待予防プロジェクト 』
                         一新塾第25期本科  佐藤孝典

■【参加者募集】「第27期説明会&体験ワークショップ」2010年11月7日開講

         『“根っこ”を掘りさげたい人、集まれ!』

    ●東 京:2010年10月13日(水)19:30〜21:40
               10月16日(土)15:00〜17:30
               10月20日(水)19:30〜21:40
   (参加予約)→ http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。

9月12日、新宿で塾生主催のシンポジウムが開催されました。
 「『虐待の真実』〜もう、ほっとけない。今私たちにできる第一歩」
第25期生の佐藤孝典さんが「子ども虐待予防プロジェクト」のメンバーと
ともに創りあげた手作りのイベントです。
このたび、佐藤さんにシンポジウム開催を振り返ってメッセージをいただき
ました。佐藤さんのミッション・ビジョン。そして、シンポジウム開催に至る
までの佐藤さんの葛藤と決意が胸に響きます。ぜひ、ご一読ください。

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■■■■ 塾生活動レポート
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■■        『 子ども虐待予防プロジェクト 』
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■■■■■□              一新塾第25期本科   佐藤孝典

●ミッション

 私のミッションは虐待予防のための仕組みをつくることです。
 今、子どもが死亡する悲惨な事件が後をたちません。虐待は決して新聞や
テレビの向こう側のことではなく、私たちの住む地域の中で起こっています。
今現在も、声を殺して苦しみに耐えている子どもたちがいます。虐待問題への
取り組みも、早期発見、保護の方法など、虐待が起こった後の対応が中心なの
が現状です。私はなんとかして虐待の“発生予防”をする仕組みを作りたいと
考え活動をしています。

 虐待増加の根本原因には社会構造の変化に伴う、コミュニティの問題、
核家族化の問題、親の精神的など様々な問題が複雑に関わりあっています。

 私は4年前、実母から虐待を受け傷ついた少女に出会いました。
助けを求めるような、怯えるような、そしてどこか諦めてしまっているような
目をした少女。なんとも表現できない彼女の目、表情を私は今も忘れることが
できません。

 それまでの私にとって、虐待は自分とは関わりのない他人事でした。
しかし、ひとりの虐待被害児との出会いから、虐待は身近な問題に変わりました。
虐待を調べれば調べるほど、問題は複雑で、解決が難しいことがわかりました。
そして問題の根本解決には、福祉の一分野だけでなく、制度を変えたり、一般
市民の意識を変える必要があると考えましたが、当時の自分は自信がなく行動
に移せずにいました。私はなんとかして虐待を無くしたいという気持ちを抱き
ながら模索を続けていた時に一新塾に出会いました。

●一新塾プロジェクト立ち上げ

 私は一新塾で、「虐待予防」のビジョンを掲げました。
 このビジョンに共感してくれた3人の同志が集まり、プロジェクトを発足する
ことができました。まずはじめに、私たちは一新塾で教わった「現場主義」の
考えの元、育児家庭、児童養護施設へインタビューを行いました。

 私を含め育児経験のないメンバーや児童養護施設に行くのは初めてのメンバーも
いました。児童養護施設に暮らす多くは、虐待が原因で保護されてきた子どもたち。
プロジェクトメンバーは、幼い子ども達に直接会った事で、虐待を受けた子ども
たちの現状を知り、いっそう、虐待から子どもを守りたいという気持ちが強まり
ました。

 同時期に、私は過去に虐待を受けた虐待被害者の兄弟とインターネットを通じて
知り合いました。私はすぐにアポイントをとり、直接会いに行きました。私は
被害者のお二人と話をし、「福祉制度を変えるのと同様に、もっと一般の方に
虐待は特別な事ではないという事を知ってもらいたい」という当事者の思いを
知りました。彼らの気持ちに答えることが私の役目であると考え、虐待被害者の
彼らと共に当事者の声を一般の方へ届ける、シンポジウムを開くことを決めました。

●同志と協働してのシンポジウム開催

 9月12日のシンポジウム開催は、私にとって大きなチャレンジでした。
 本音を言うと、シンポジウム直前まで、私は虐待問題に関わることに恐怖心
を抱いていました。私の発言や行動で、虐待被害者を傷つけてしまうことも
あります。また私自身自分に自信がなく、シンポジウムなど大それた事をして
よいのかとも悩みました。しかし、私は活動を続けることができました。それは
プロジェクトメンバーの支えや、虐待被害者の方の協力があったからです。
プロジェクトメンバーは「なんとかして虐待を無くしたい」という自分の根っこ
にある気持ちを7ヶ月間、ずっと支え続けてくれました。

 そしてもうひとつ。シンポジウムでは虐待被害者の方が虐待体験を語ること
になっていました。人前で虐待体験を語ることはとても勇気が必要です。
彼らが勇気を出して人前に立つというのに、私だけ怖じ気づいている訳には
いきません。そう思った時、私は初めて本当の覚悟ができました。

 シンポジウムへは多くの方が参加してくれました。中には、自身も虐待の
被害者だと言う方のカミングアウトもあり、虐待被害者と一般市民が共に
「虐待予防」について意見を交わす貴重なシンポジウムとなりました。参加者
からも継続を希望する声を頂き、私たちはこの活動を続けて行く事を決めました。

●今後の展望

 プロジェクト発足から今までを振り返ると、インタビューや、シンポジウム
開催を含めてわたしひとりの力ではなし得なかったことが仲間の協力のもとに
実現することができました。私は仲間との協力が全ての事に当てはまると知り
ました。問題を解決するには、ひとりの力では限界があります。支え合う仲間
とのつながり必要です。私はこのプロジェクトを通じて、今まで関わることの
なかった多くの人とつながることができました。私たちの活動は始まったばかり
で、まだ何もなし得ていません。しかしこのつながりを大切にして、活動を
継続していくことが、次のステップにつながると信じています。私はさらに
多くの人と協力し「虐待予防」活動を続けていきたいと思います。

 



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