2010/09/7 【一新塾ニュース】第426号:
塾生活動レポート
『リハビリテーションネットワーク(可能性チャレンジ支援)を目指して』
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一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
【 第426号 】 発行日:2010年9月7日
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■ 塾生活動レポート
『リハビリテーションネットワーク(可能性チャレンジ支援)を目指して』
一新塾第25期「大阪」地域科 三浦 浩史
■【参加者募集】「第27期説明会」2010年11月7日(日)開講
(参加予約)→ http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html
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東京本科テーマ:『“根っこ力”で社会変革!
〜ミッション基軸でネクストリーダーを目指せ!』
●東 京:9月11日(土)15:00〜17:30【定員になりました】
9月15日(水)19:30〜21:40
9月22日(水)19:30〜21:40
9月25日(土)15:00〜17:30
9月29日(水)19:30〜21:40
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地域科テーマ:『“根っこ力”で社会変革!
〜ミッション基軸で地域プロデューサーを目指せ!』
●大 阪:10月2日(土)13:30〜16:00
●名古屋:10月3日(日)13:30〜16:00
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
今回は「大阪」地域科の現役生、三浦浩史さんのメッセージをお届けします。
三浦さんは理学療法士として20年のキャリアを重ねられたリハビリの専門家
です。業界に新しい風を注ぎ込むべく「リハビリテーションネットワーク」の
実現に向け挑戦しています。病気・障害・高齢であっても社会の中で自分の役割
を持ち、人生を謳歌できるように支援する仕組みです。これからの時代に切実
に求められるサービスです。
三浦さんの熱きメッセージ、ぜひ、じっくりご一読ください。
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■■■■ 塾生活動レポート
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■■ 『リハビリテーションネットワーク(可能性チャレンジ支援)を目指して』
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■■■■ 一新塾第25期「大阪」地域科
■■■■■□ 三浦 浩史
「リハビリテーションネットワーク」とは、病気・障害・高齢であっても社会
の中で自分の役割を持ち、人生を謳歌できるように支援する仕組みです。大阪
に、小さくとも本当の社会的復権ができるリハビリテーションセンターの設立
と支援システムの構築を目指しています。
例えば、50歳で脳の病気をしたとき、1年くらいで歩けるかどうかは理解でき
ても、仕事など「社会で生きるために自分ができることやできないこと」を理解
できず目標を失うことが多々あります。これは自分には何ができて何ができないか
をはっきり教えてくれる専門家がいないためです。仕事をするためには、体が
動けばよいというものではありません。判断力・集中力・周りを気遣う想像力
など多くの判断力が必要です。これらの能力を専門家で判断し書面化すること
でまず理解していただきます。
その上で、車椅子利用の方が通学路や公園の見守りをしたり、地域の掃除を
したり、具体的にできる地域ニーズや仕事などのマッチングとその事前訓練と
調整を行い、人生を謳歌してもらいたいのです。障害があってもできることは
沢山あります。その方がもっている可能性を地域の中で生かすことができる
社会になることを望んでいます。
●社会の現状と課題
今、皆さんが脳の病気になり障害が体に残ったとしたらどのように人生を
送りますか?
大阪市では、障害手帳を取得されている方が約15万人います(人口比5.6%)。
手帳を取得しない軽度の障害の方や高齢のため体が思ったように動かない方々
を含むと約72.5万人(人口比27.5%)がいます。
50歳の働き盛りで脳卒中になり、リハビリを懸命に行い日常生活はできるよう
になったが、復職できず何を目標に生きていけばわからなくなっている人がいます。
こういう方々の多くは自宅に閉じこもったり、懸命に回復を願い、リハビリ
(機能訓練)を10年以上も継続される方もいます。
●根本原因 「無理しないでゆっくりして」から「さぁやってみよう」へ
a)社会にある原因
「病気・障害・高齢という心身の変化があっても、人には可能性がある。
そして社会の中にその人の役割がある」といつも感じています。されど、共に
暮らす地域の人々を見回しても、病気・障害・高齢の方は擁護対象であり、
守るべきという概念で充満しているように思います。この思いが可能性にチャ
レンジする人の壁になりやすいのです。
b)本人と支援者の中にある原因
治らない病気や障害が残る病気といわれたらほとんどの方が「絶望」的な
印象を持つと思います。しかし、病気や障害があってもできることは残って
います。残った能力を使って自分の可能性にチャレンジできるメニューのよう
なものがあれば気持ちのベクトルは前向きになるのではないでしょうか?
治療と同時に当事者へ「自分に何ができるのか・できないのか、練習すれば
何ができるようになるのか、社会の中にできることはあるのか?」などを明確
に提示していないため本人も希望を見出せないのです。
また、当事者は、病気・障害を持つことで自分の気持ちの整理など人生の
大きな分岐点を迎えます。大きな心の変化が日々続きます。この心の変化と
社会復帰にはかなりの相関関係があります。大切なのはその変化の中で前向き
のベクトルを周りへ表現したとき、そのタイミングで、周りが一緒に進もうと
共感し後押しできるかどうかです。
c)病院や老人保健施設にある原因
現在の病院や老人保健施設のリハビリの流れでは「日常生活の復帰」を目標
にしています。そこで社会復帰する生き方を見つける支援はなかなか行われて
いないのが現状です。
●今までの自分
私は、鳥取県倉吉市という人口4万人の小さな町で大きくなりました。自然を
相手に遊び、怪我ばかりしていたように思います。ただ、中学時代には祖母が
寝たきりになり、母親が介護と仕事(商売)を両立し、一時は家庭崩壊を迎え
ました。このころに医療への道を進むこととしました。大阪市の国立のリハビリ
の専門学校へ入学し、とても厳しい3年間(経済的にも貧困学生であり、同時
に勉学も厳しいものでした)が自分の思考方法と探究心そして強さを教えてい
ただいたと思います。
私は、理学療法士として20年間仕事をしてきました。もともと自分のミッション
として「どんな病気の人も治療できる理学療法士になりたい」と考え、3箇所
の病院を渡り歩きました。
国立病院で難病のリハビリを行い、リウマチなど治らない病気に立ち向かう
若者や野球好きな人そして脊髄(背骨の中の神経の束でここに病気が起こると
「足が動かない」「排泄がわからなくなる」などの体の障害が起こります)の
病気により障害に立ち向かう20代の男女など多くの方々との出会いは障害を
持つことを考える機会となりました。「どうしたら治るの?」「何で私がこんな
病気に・・・」こんな言葉を日々聴いていました。
ここで出会った20代の女性は、脊髄の障害で、首から下の手足はまったく
動かなくなりました。2ヶ月間他の病院で入院し、寝たきりの状態で私は出会い
ました。20代での病気は、自尊心などの破壊を生みます。ただ、その中でも一緒
にリハビリをしました。彼女は約1年かけて、手足に障害は残ったものの走れる
ようにまで回復しました。私は彼女にできることとできないこと、そして治ら
ない障害をはっきり伝えました。足の感覚がないため、足に熱湯をかけても
彼女は痛みを感じません。指で物がつまみにくいため(握ることはできるが)、
紐を結ぶことができません。その中で彼女は生活の自立を目標に車の運転を再度
練習し、車で買い物を自分で行うようになりました。以後、彼女は創意工夫を
私に教えてくれました。
その後、私は、医療法人でスポーツリハビリを行い、怪我からのスポーツへ
の復帰や逆に引退を見つめてきました。
そして、別の医療法人で脳の病気の急性期リハビリを行っていました。脳の
リハビリは、医師・看護師・リハビリスタッフ・栄養士など関係者が、早期か
ら目標を共有し、その上で役割を明確にして、24時間の生活の中にリハビリ
要素を組み込むことで効果を上げました。
その後、介護保険が施行されることとなり、医療法人の業務で老人保健施設
の立ち上げを行い、同時に介護支援専門員業務を兼務し多忙に仕事をしていま
した。
社会情勢も変わり、リハビリ専門職も増加し、病院で治療しても社会へ戻る
活動をされている専門職が極めて少ないことを介護保険で痛感しました。ここ
で「自分の役割は何か?」と考えたとき、病気や障害のある方が自宅で生活す
るためには在宅でのリハビリが必要だと考え、現在は社会福祉法人にて訪問
リハを行っています。現在では、多くの介護事業と障害事業を運営しています
が、何か自分の中で靄がかかっていました。
どんな形であれ、生きるだけではなく自分の人生の役割を全うする生活を望
んでいるのではないかと思い始めました。
●一新塾との出会い・・・そして、自分の中の化学反応
昨年、自分の大きな人生の分岐点がきました。これから自分が本当にしたい
ことは何かを自分と向き合い始めました。そのときに一新塾に出会い、「自分
の将来ビジョン」が映像として見えないという自分の思考の弱さを実感しました。
ここで、「自分にできること」はわかるが「自分がしたいこと」が漠然として
いることに気づき、初めて自分を白紙にできました。ここから一新塾での化学
反応が始まりました。
●現在の活動、そして今後の方向性
一新塾のカリキュラムで自分のビジョンを見つめ続けると、最近明確になる
ことがありました。自分が20年間活動してきたことは、自分のミッション探究
のプロセスであり、自分がやりたかったことだとに気づきました。また、この
20年間の経験と人脈などのメンター力は、今後の自分のミッションの力になり
ます。
以下に、今後のプロジェクトの概要を記載します。
1)当事者の「私のできることパス」作成プロジェクト
リハビリテーションネットワークという仕組みを実行できるよう支援したい
と思います。
(1)対象者ができること・できないこと・可能性があることを明確にする
評価指標の作成(これをパスとして使用)
(2)多くの職業・地域活動の方々とネットワークを持ち、パスで分かる
当事者のできることを地域で実行
評価の段階で具体的な参加項目を複数提示し、プログラム進行過程で絞りこむ。
そしてGOALを目指すものです。
2)大阪南部にリハビリテーションセンターの設立プロジェクト
「リハビリテーションセンター」を作り、そこを地域の社会復帰ネットワーク拠点
とします!この拠点には、多くの役割があります。
役割(1):リハビリテーション(治療・訓練)の提供
一時入所や通所にて専門職による専門的なリハビリテーションの提供を行います。
役割(2):「私のできることパス」の発行
役割(3):職場復帰前訓練と社会復帰調整支援
仕事を希望する人へニーズのマッチングと必要な機能を訓練します。
地域の仕事と当事者の能力のマッチングと必要な機能を訓練します。
役割(4):商品開発並びに商品販売
リハビリテーションセンターで当事者を中心に商品開発を行いたい。
役割(5):福祉用具開発
装具など専門メーカーの協力と当事者のコラボレーションにおいて、
必要な福祉用具の開発をしたい。
役割(6):地域役割マッチング支援
地域のニーズ(公園・通学路見守り、掃除、代筆、町会の運営など)
と当事者の能力のマッチングを支援します。
役割(7):制度間のワンストップサービス
医療と福祉の間に位置することで、互いの掛け橋となり、制度間の
狭間をうめることができます。
(1)相談支援(2)リハビリ支援(3)地域役割取得支援の融合です。
役割(8):身体障害手帳の判定
身体障害手帳の判定をこのセンターでもでき、日々変化する障害
の状態と障害施策のマッチングを行っていきたいと思います。
役割(9):地域への啓発活動
可能性チャレンジの実例紹介を多くの地元の人に広く知ってもらい
障害の人の参加可能性をさらに増やし、チャレンジする循環を
作りたいと思います。
役割(10):行政への働きかけ
地域づくりを行政とともに考えていけるようになれればと思います。
これら大きなプロジェクトですが、10年かけて今後大阪市南部を中心に、
都市型の社会復帰モデルを実行したいと思います。
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