2010/04
/13 【一新塾ニュース】第413号:
塾生活動レポート
『「 知立団地に思いを込めて 」〜笑顔あふれるコミュニティ広場構想 』

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          一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第413号 】 発行日:2010年4月13日
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■ 塾生活動レポート
            『 知立団地に思いを込めて 』
          〜笑顔あふれるコミュニティ広場構想〜

              一新塾第25期「名古屋」地域科  田辺直人

■【参加者募集】「第26期説明会」2010年5月30日(日)開講

   → http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html
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 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
  今回一新塾は愛知県の知立(ちりゅう)市を現場に、多文化共生のプロジェクト
活動に邁進されている第25期「名古屋」地域科の田辺直人さんのメッセージを
お届けいたします。
  3月28日(日)には、田辺さんの呼びかけで、名古屋地域科塾生メンバーが
知立団地に現場視察に行ってきました。自治会による粗大ごみ収集をボランティア
で手伝う外国人の方や団地のスーパーで働く方へのヒアリング、自治会長さんとの
懇談、知立団地で暮らすブラジル人家庭の訪問、知立市長とも懇談し、
様々な生の声に触れさせていただきました。

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■■■■ 塾生活動レポート
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■■          『 知立団地に思いを込めて 』
■■        〜笑顔あふれるコミュニティ広場構想〜    
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■■■■        一新塾第25期「名古屋」地域科  田辺 直人
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 プロジェクト「笑顔あふれるコミュニティ広場構想」の舞台となる知立団地。
愛知県の三河地方にある人口7万人程度の小都市・知立市。旧東海道の宿場町
として栄え、歴史と文化、伝統ある祭りが今もこの町の観光を支えています。
知立市が施行した今から40年前、日本の高度経済成長に呼応するかのように
整備されたのが、公団「知立団地」です。地元の重要産業である自動車関連企業
への通勤にも便がいいと、多くの住民が入居し、およそ2500世帯、5000人
が暮らし始めました。

 現在、この知立団地では、住民の半数以上がブラジル人を始めとする外国人
労働者となっています。日本人住民の高齢化・独居老人化が進むと、それに
合わせるように10年ほど前から外国人が増え始めました。マイノリティから
マジョリティへと勢力が変わり、生活習慣の違いによるマナーやモラルの低下、
治安の悪化が課題となりました。

 私は、ケーブルテレビというローカルメディアで報道活動をする中で知立団地
の現状を知り、その姿を少しでも正確に伝えようと、10年前から取材を重ねて
きました。一新塾でのプロジェクト立上げは、仕事から離れて一市民の立場と
なっても、なお関わって行くべき社会的テーマであると考え取り組んだものです。

●「強制」ではなく「共生」

 知立団地は、長年の自治会活動によって、全国的にも成功した多文化共生社会
を具体化しています。増え続ける外国人に対し、自治会は「強制」ではなく「共生」
する術を探りました。習慣や文化の違いを理解し受け入れることで、外国人が
主体的に自治会活動に目を向けてくれるように歩み寄ったのです。日本語の話せる
ブラジル人を自治会メンバーに入れ、外国人からの様々な相談・要望に答えて
きました。毎年恒例の夏祭りは、盆踊りからサンバカーニバルに変えました。
就職に有利になるようにと日本語教室を開催し、毎晩多くのブラジル人が勉強に
励みました。粗大ゴミの収集日には、外国人の若者たちが自主的に手伝いに出る
ようになりました。

 自治会に決め手となる施策や計画が有ったわけではありません。目の前の現実
に真正面から向き合うしかなかったのです。そうした体当たりの行動に外国人
住民が共鳴し、知立団地に共生の芽が生まれたのです。

●知立団地が直面している課題

 知立団地が今直面している課題は、自治会組織の高齢化です。団地から日本人
の姿が減り、一方で独居老人が増えています。自治会長は70歳を超え、同様に
自治会のメンバーも高齢化が進んでいます。言葉の壁、文化・習慣の壁を乗り
越えてきた知立団地の住民ではありますが、リーダーシップを担う自治会の高齢化
によって、せっかく育まれた共生の芽がこれからどのように育っていくのか心配
になります。

 知立団地は小さな国際都市です。多文化共生のよいモデルケースになっています。
しかし、その国際化も、団地周辺の住民たちから理解され歓迎されているわけでは
ありません。一度低下したモラルや治安は、団地内に暮らす人たちが感じている
以上に、周辺の住民に不安感と差別意識を植え付けてしまったのです。自治会の
長年の努力によって芽生えた共生というコミュニティも、周辺住民の目には未だ
正しく伝わっていないのです。

●「笑顔あふれるコミュニティ広場構想」

 「笑顔あふれるコミュニティ広場構想」は、団地の今を周辺住民に正しく伝え、
日本人住民と外国人住民が、お互いを理解し合い前向きに共生していけるよう
サポートする活動です。「広場」とは団地の中心にある公園のことであり、人々が
集う精神的な拠り所という意味でもあります。

 団地で生まれた国際的なコミュニティは、団地周辺の住民を巻き込んでさらに
大きなコミュニティを形成する可能性を持っています。その第一歩となるものが、
団地に人を呼び込むきっかけ作りだと考えています。知立団地で育まれた共生の
コミュニティを、国際交流や異文化交流の一環として活用し、誰もが気軽に
団地に訪れるようになれば、外国人だけでなく高齢化が進む日本人住民とも触れ
合い笑顔あふれる時間を共有できると思います。

 夏祭りのサンバカーニバルは、最もブラジル文化を味わえるイベントとして
広くPRでき、スポーツイベントとしてサッカー大会を企画することもできます。
食文化を楽しめる屋台村を実施すれば多くの人が集まることでしょう。若者同士
を結びつけるため、大学のゼミと連携することも可能です。

 このように知立団地が日常的に人々の集まる交流広場になることで、自治会
  ばかりに依存しない主体的なコミュニティ形成が可能となるのです。

●私のプロジェクトが目指すもの

 私のプロジェクトが目指すものは、団地の情報を周辺住民に伝えるメディアを
創出することです。ツールは情報誌・Webサイト・Net放送など様々考えられ、
外国人住民自ら情報発信できるようになることが理想です。行政の理解を得て
市政だよりに記事を載せてもらうことも考えられます。

  人々が集まり・出会い・学び・理解し合うことこそが、コミュニティ形成の
基本であり、その舞台となるのが知立団地なのです。
日本一小さな国際都市「知立団地」へようこそ!