2010/03/25 【一新塾ニュース】第412号:
塾生活動レポート
『 沖縄の未来を創る教育 〜興南中[よのなか]科の実践から 』
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一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
【 第412号 】 発行日:2010年3月25日
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■ 塾生活動レポート
『 沖縄の未来を創る教育 』
〜興南中[よのなか]科の実践から〜
一新塾第25期 通信科(沖縄) 門林良和
■【参加者募集】「第26期説明会」2010年5月30日(日)開講
→ http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
先ほど、沖縄の通信科生の門林良和さんが東京の一新塾教室を訪ねてくだ
さいました。門林さんは沖縄の中学校で、[よのなか]科の実践に熱心に取り
組まれています。初めてお越しいただいた一新塾の教室でも、
「未来の沖縄を担う主体的に生きる子どもを育てたい」との熱き思いと日頃の
実践についてお伝えいただきました。
そして、メルマガ読者の皆さんに熱きメッセージをいただきました。
ぜひ、ご一読ください!
(本日、沖縄説明会もあります!3月25日(木) 19:00〜21:00)
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■■■■ 塾生活動レポート
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■■ 『 沖縄の未来を創る教育 』
■■ 〜興南中[よのなか]科の実践から〜
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■■■■ 一新塾第25期 通信科(沖縄) 門林 良和
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●「世の中を主体的に生きる子どもを沖縄で育成したい」
そんな目標を掲げて、沖縄県の私立中高一貫校である興南中学校で[よのなか]科
という授業を実践している。[よのなか]科とは、藤原和博氏(前 杉並区立和田中学校校長)
が創始された、「教室と実際の世の中を結ぶ架け橋となる」新しい授業スタイル
である。この授業スタイルをベースに、沖縄での新たな学校教育の形を模索し続けている。
このような現在の自分の取り組みの原点は、2つの疑問との出会いから始まった。
●「学校教育とは一体何を育てるものか」
そのような疑問を感じたのは、大学卒業後の道として選んだ大学職員を始めた
ころだった。授業に出てこない学生、目的が見出せず中途退学する学生の多さに
ただ驚くばかりだった。大学の休・退学者数は年々増加傾向にあり、就職しても
3年以内に大卒者の3割が仕事を退職するといわれている。
「大学に行けば将来何とかなる」と教えられ、厳しい受験戦争を勝ち抜いてきた
子どもたちに待ち受けている「不都合な真実」を目の当たりにした瞬間だった。
中学校では高校に進学するための、高校では大学に進学するための、受験に勝ち抜く
「一つの正解」を教室で学ぶ。そこには「自分はこう考える」といった主体的な判断は
ほとんど求められない。
しかし、大学の教室から、いざ社会に出ようとした瞬間、世の中から「あなたは
自分の人生で何をしたいのか」という主体的判断を求められる。世の中とは遠く離れた
教室で過ごしてきた子どもたちにとって、この「一つの正解のない」突然の問いに
混乱することは当然なのかもしれない。
こうした問題をまえに、文科省もただ傍観していたわけではない。学校教育の
重点目標として「生きる力」の育成を掲げ、「総合的な学習の時間」を設けたが、
いまだ迷走を続けていることは周知の事実である。
生きる力とは、正解のない世の中の問題と主体的に向き合い、その中で自分の
人生を主体的にデザインしていく力だと考えている。だとすれば、世の中を生きて
いく力を育てるためには、子どもたちの発達段階においてどんな教育デザインが必要なのか。
その答えは学校の教室ではなく世の中にあるはずだ。だからこそ教室と世の中を繋ぐ
[よのなか]科を実践することが、子どもの未来を拓く教員としての自分の役目だと
考えている。
●「世の中の問題と主体的に向き合うこととは何か」
私自身、大学時代まで自分の人生を主体的に生きる意味すら考えもしなかった。
しかし、大学時代の一人の恩師との出会いが、自分の人生を大きく揺さぶった。
恩師に誘われ訪れた沖縄は、手を伸ばせば届きそうな青空と、戦闘機の奏でる爆音で
私を迎えてくれた。その時感じた違和感が何故か忘れられなかった。世の中の問題と
向き合えない自分と、その世の中でおこっている逃れられない現実とがうまく結び
付かない違和感だった。
そんな自分の目を覚ます事実が沖縄にはあった。1995年の少女暴行事件による
県民総決起大会、2004年の沖縄国際大学ヘリ墜落事件に対する抗議集会である。
思想や信条の違いを超え、世の中の問題と主体的に向き合い、自分たちの未来を守ろう
とする市民の主体的エネルギーが、世の中とうまく向き合えない一人の大学生に教えてくれた。
『世の中の問題と主体的に向き合うことは、自分の人生と主体的に向き合うことだ』ということを。
そして自分の人生を主体的に歩むため、沖縄での教員生活をスタートさせた。
●世の中とつながった新しい教育スタイルの実践
興南中で実践している[よのなか]科では、「あなたは死刑を言い渡せるか」など、
「一つの正解」がない世の中の問題を生徒が 主体的に考え、自分なりの答えを教室で模索している。
「死刑というのはどういうことなのか、わかった。自分は死刑判決は出せないだろう。」
この授業を受けた中学生の感想だ。世の中の問題を自分の問題として考え始めた瞬間である。
最近では中学生が新しい 沖縄の旅を企画し、沖縄観光をリードする行政機関や企業に対して
プレゼンテーションも行った。生徒が想像し、創造した企画を世の中に発信する取り組みである。
例えば、その一つとして、高齢者向け沖縄移住をテーマに、
移住に失敗しないための物件めぐり、地域社会との横のつながりをつくるための交流会などを
提供する新しい旅行プランを中学生が提案し、観光業界関係者からも高い評価を得た。
[よのなか]科は、教師と生徒の関係だけでは成立しない授業である。そこには、
実際の世の中を生きる大人の力が必要だ。教室では、教師とは違う大人が生徒とともに
正解のない問題と向き合い、議論を交わす。また生徒が発信した主体的判断に世の中が
応えていく。
そうした世の中と結ばれた教室から、自分たちの時代を主体的に生きようとする
第一歩が生まれるのである。
●「未来の沖縄を興す人材の育成」が私のミッション!
最近実感することがある。情報は求める者にのみ与えられる。自分が発信すれば
必ず誰かが自分にアクセスしてくれるということだ。
そんな時に一新塾の存在を知った。そこは主体的市民を志す熱い思いをもった同志が
集う場。そこに自分が果たしたいミッションを思いっきり発信し邁進したいと思って
いる。
現在の沖縄は、観光という強い光で見えにくい場所に、歴史・基地・経済などの
濃い影がまだあちこちに点在している。普天間問題にしても、沖縄の主体性は
一体どこに消し去られたのか。この島の未来は一体誰のものなのか。
物的資源が少ない沖縄では、次世代を担う人的資源こそ将来の沖縄を築く礎と
なるはずだ。教室と世の中をつなぎ、未来の沖縄を担う「世の中を主体的に生きる子ども」
を育成するミッションはまだ始まったばかりである。
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