2010/03
/11 【一新塾ニュース】第410号:
塾生活動レポート
『 妻籠宿保存事業を次世代に継承する』


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          一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
           【 第410号 】 発行日:2010年3月11日
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■ 塾生活動レポート
         『 妻籠宿保存事業を次世代に継承する 』
 
               一新塾第24期「名古屋」地域科 吉村瑞生

■【参加者募集】「第26期説明会」2010年5月30日(日)開講
   → http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

   東 京:4月10日(土) 15:00〜17:30
        4月14日(水) 19:30〜21:30
        4月18日(日) 15:00〜17:30
   大 阪:3月20日(土) 13:30〜16:00
        4月24日(土) 13:30〜16:00
   福 岡:3月21日(日) 13:30〜16:00
        4月29日(木祝)13:30〜16:00
   名古屋:3月22日(月祝)13:30〜16:00
        4月25日(日) 13:30〜16:00
   沖 縄:3月25日(木) 19:00〜21:00

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 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。

 一新塾のモットーは“現場主義”です。
  “現場主義”を一新塾流に定義すれば、「社会の現実」に「自分の人生」を
投げいれて問題解決していく姿勢です。
現場に飛び込み、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、肌身で感じることです。

 今回は、「名古屋」地域科の吉村瑞生さんよりメッセージをいただきました。
吉村さんは、生まれ育った妻籠宿保存事業の継承という課題に、まさに自らの
人生を重ね合わせながら道を模索してきました。
  昨年10月には、吉村さんにご案内いただき、私も一新塾生の有志と一緒に
妻籠宿にお伺いさせていただきました。そして、継承することの意義の重みを
肌で感じさせていただきました。
  妻籠宿への思いのこもった吉村さんのメッセージ、じっくりご覧ください。

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■■■■ 塾生活動レポート
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■■       『 妻籠宿保存事業を次世代に継承する 』
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●町並み保存のパイオニア・妻籠宿

中山道42番目の宿場町、妻籠宿(つまごじゅく)。
長野県木曽郡南木曽町(なぎそまち)に位置している。
妻籠宿の保存事業は昭和42年(1967年)に始まり、それから
現在に至るまで、多くの観光客で賑わい続けているが、
江戸時代の宿場町の景観を残す町並みとして、高い評価を受けている。

妻籠宿の町並み保存事業は、全国でもほぼ最初にあたるものだ。
住民たちは保存事業を築き上げるために議論し、ルールや仕組みを
積み上げ、それを住民全体で共有し現在に至っている。
「売らない・貸さない・こわさない」の3原則を盛り込んだ
「妻籠宿を守る住民憲章」(昭和46年制定・宣言)も、そのひとつである。

そして私はこの妻籠で生まれ育った。生家は妻籠宿から隣の馬籠宿へと
向かう中山道に面しており、生家も保存対象である。

●過疎地でも町づくりを継承できるようにするために

そんな妻籠宿だが、人口は減少の一途をたどり、しかも高齢者が多くを占める。
保存事業を20・30年後へと継承していくには、保存事業に関わる層を
厚くしておく必要がある。
「町づくりの主体は住民であるべき」というのは確かにその通りだ。
だが将来の担い手は、妻籠の住民だけでは足りなくなる。
恥ずかしながら私も含めてだが、多くの若者は故郷を離れ、
都市部で生活している。

そこで妻籠宿の保存事業を継承するために、住民だけではなく
出身者も含めた形で、保存事業に関わるモデルを作り上げたいと考えている。
こうすることで保存事業に関わる層を厚くすることができ、
過疎地におけるコミュニティを維持することができるだろう。
そしていずれは、町づくりには必要な「よそ者」も「よそから」参加できる
モデルを目指していきたい。

●今愛知県にいても、できることをやればいい

以前から私は、いずれは故郷の町づくりに関わりたいと思い、
妻籠に帰るたびに同級生やその親たちなどに、故郷の近況を聞いていた。
妻籠やその周辺では、雇用の場は極めて限られている。
そのため妻籠宿の保存事業に関わるためには、必ず独立して自分の
ビジネスを築いてから、帰郷するしかないと考えていた。

しかし独立できる時を待っていては、いつ帰郷できるかも分からない。
ふと、無理せず現実的な活動を選択することも必要だと思った。
現在愛知県に住んでいても、できることをやればいい。

また将来の故郷の人口減少を考えると、私たち出身者が外から主体的に
関わっていく方法を築いていく必要があることに気づいた。
そうすれば、保存事業を支える層もある程度安定するのでは、と思ったのだ。

●第一人者の声を残すには今しかない

また、この妻籠宿の保存事業を立ち上げる中心となったのが、現在
財団法人妻籠を愛する会理事長である小林俊彦さん(81)だ。
全国でも町並み保存事業の第一人者として名高い。

しかし昨年、あるきっかけで小林さんが80歳と知り、少々ショックを受けた。
「直接小林さんの声を聞いて、彼の意志に触れる機会は今しかない」
という現実を突きつけられたのだ。だが、まだ第一人者の声を聞くことができる
喜びと、残された時間を思い、早速お会いすることにした。
それから何度か小林さんとお会いしているが、いつも快く迎えていただき、
いろいろと昔話を教えていただいている。
昨年10月には一新塾の仲間を連れて妻籠を訪問し、
皆でともに小林さんのお話を伺う機会をいただいた。

将来の人口減少への備えと小林さんのご年齢を考えると、
動き始めるのは今しかない。こうして、このプロジェクトはスタートすることとなった。

●まず、保存事業の概略を学ぼう

妻籠に住む若者たちは、既に陣太鼓やその他伝統芸能の活動に
参加している。まず彼らと同じ場を共有しながら、ともに保存事業の概略
について学ぶ場をつくりたいと考えている。
そこで、比較的誰でも読めるような小冊子を手始めに作成することにした。
この小冊子をこの場の若者で共有し、「俺たちが継承していくんだ」という
雰囲気を醸成していくことができたらと思っている。

先輩たちが築き上げた妻籠宿という資産を、私たちの代で
廃れさせるようなことは絶対にしたくない。誇りをもって継承し、
更に次の世代にバトンタッチできる態勢を整えていきたいと考えている。

●更に次の世代に継承していくために

町づくりは地縁の活動であり、何より継続していくことが大切だ。
中でも過疎地では担い手も限られている。
町づくりを継承していくためには、細く長く、無理せず続けていくことが
大切だと考えている。とりわけ、妻籠宿は「変わらない」ことが大切だ。
なお私の生家は、今年保存のための修復工事を開始する予定である。

妻籠宿と妻籠のコミュニティを維持するために、私たち世代なりの
やり方による保存事業を、築き上げていきたい。

妻籠観光協会 (財団法人妻籠を愛する会)
http://www.tumago.jp/

ブログ「つまご生まれ、妻籠育ち」
http://ameblo.jp/tsumagojuku/



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