2009/07/8 【一新塾ニュース】第390号:
『 もう後がない山村の荒廃を救う山村振興』〜岐阜県・七宗町 現場視察報告〜


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         一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!〜
          【 第390号 】 発行日:2009年7月8日
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■ 塾生活動レポート

   『 もう後がない山村の荒廃を救う山村振興 』
                  〜 岐阜県・七宗町 現場視察報告 〜

                       第23期 名古屋地域科  松山善之助

■【 参加者募集!】2009年11月8日開講「第25期説明会」
   東 京:8月23日(日)15:00〜17:30 ほか
   大 阪:8月29日(土)13:30〜16:00 
   名古屋:8月30日(日)13:30〜16:00
   福 岡:9月 6日(日)13:30〜16:00
   → http://www.isshinjuku.com/03bosu/b2_sietumei.html

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 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。一新塾の森嶋です。
6月27日〜28日に、一新塾メンバー12名で、岐阜県の七宗町に現場視察に
行ってまいりました。目的は、故郷である七宗町のため体を張って奮闘されて
いる第23期松山善之助さんのミッション基軸のプロジェクトの応援です。
  松山さんの志に感動し、現場での新たな気づきにハッとさせられ、
まちの人たちとの議論で、共感、共鳴の輪が広がりました。
  松山さんの志にメンバーの志がしっかり繋がり合いました。

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■■■■ 塾生活動レポート
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■■      『 もう後がない山村の荒廃を救う山村振興 』
■■          〜 岐阜県・七宗町 現場視察報告 〜
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■■■■            一新塾第23期 名古屋地域科   松山善之助
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  「もう後がない」という状態はいろいろあるが、私の場合70歳という年齢である。
父親の生きた年齢は96歳、88歳まで元気な現役であったので、その遺伝子に期待
しても残り20年しかない。

 長年、心の片隅に培ってきたことがある。自分が育てられた故郷への報恩である。
故郷は岐阜県の奥美濃、加茂郡七宗町という人口4500人あまりの小さなむらである。
平成の大合併では合意ができていた近隣市との合併は、相手先の住民投票で破棄
されるという全国でもまれな事例を作った寒村である。結納を入れた婿殿から破談
にされた娘の心境は寂しいものがあった。

 現役時代は農業の研究職公務員として故郷を離れ、富山県、兵庫県で、農業研究、
農村指導を体験した。50歳なかばから金曜夜に帰郷、日曜夜帰宅という神戸―七宗間
の遠距離通勤介護をしながら20年間、寂れ行く故郷を見つめてきた。親の介護半分、
農地・山林や家屋の維持管理半分の役割である。連綿と続く赤字経営の農業、
定年を迎えても働き場所がない故郷、荒廃してゆく棚田、赤字で間伐できない山林、
妻にとっては何もいいことがなく、山村の故郷にあきれ果てた妻からは
「田舎へはお父さんだけ帰ってね」という厳しい最後通告であった。
もう最後がなくなったのである。

 どうしたら山村を振興し、妻が喜んで着いてきてくれる農村にできるかを命題に
して探ってきたこれまでの山村振興策は視点が狭く、ことごとく失敗した。
失意に明け暮れ始めた時、一脈の光明を見いだした。一新塾で村おこしを教えて
くれるという情報であった。入塾費は1年間で16万円(名古屋地域科)、何とか
年金生活者にも耐えられる投資であった。引けども、手繰れども伸びる蜘蛛の糸
で登るつもりで入塾した一新塾は我が子のような青年ばかり、果たしてついて
行けるかなと思われた。

●これまでの失敗その1『人のやらない特産物育成』

 札幌や長野県へ出張したとき、10月に赤い実のなる樹木に出合った。思わず
一粒を口にすると上品なほのかな甘みがすばらしい。「何の樹だろうか」検索
して見た。なんと自分の住む岐阜県の県木イチイであった。これならわが山に
まれに自生する。

 料理の添え物にしてはどうだろうか。柿や紅葉の葉を売って財をなした上勝町
のようにイチイの実付きを売ればわが故郷は再生すると考えた。課題は雌雄異株
で生産効率が悪いこと、さっそく、林業試験場へ問い合わせるもよい解決策は
見あたらなかった。取り木か実生で増やすことを覚悟して、苗の投資15万円、
植栽労賃はただとしても草取りの手間は5年間で15万円はくだらない。
苦労して5年、ようやく赤い実はついてくれた。50%は着かない雄株であったが、
まずは赤い実をつけ添え物にする葉としてはとりあえず試してみるに十分な量が
得られた。知り合いの神戸にある有馬グランドホテル総支配人を頼って送った。
ところが、昨年までなかった検索結果に「赤い実の核実にはアルカロイドが
含まれて有毒」と記載があるという。5年の苦労は水の泡、今、私の畑には
イチイの森ができようとしている。「ギャフン」である。

●これまでの失敗その2『コシアブラを売る』

 新潟の友人は訪問した際「美味しものを食べさせよう」と長岡市の郊外にある
加茂町へ連れて行かれた。山菜の天ぷらが美味しいという。5品の天ぷらが出た。
待望のコシアブラに遭遇した。香りは何ともいえない上品な香り、タラの芽を
遙かにしのぐ味、香りはまさに山菜の女王様といえる。友人はこれを増殖して
特産化を図るという。

 自分の住む岐阜県七宗町に帰り、裏山を見ると何といっぱいにコシアブラが
自生しているではないか。さらに嬉しいことが起きた。ゴルフ友達の一人が
コシアブラを裏山で増殖しているという。大阪府警で刑事をしていたその友は、
定年帰町後、裏山の檜を伐採してコシアブラ増殖につとめていた。
コシアブラオーナー制度もいい。高級食材で太古より無農薬・無化学肥料で育った
コシアブラは高価に売れた。勇気百倍、高級ホテルへ販売促進をかけた。
京都グランビアホテル、前述の有馬グランドホテルはもちろん知り合いの料亭
など手当たり次第に販売拡張した。ところが注文は、毎年、御用聞きをしないと
来ない。出荷期間が7日間と短く生産と出荷のバランスがとれない。

 注文量に見合う採取は山取のため限界があることも分かった。栽培しても
新芽を採るので5年に1度しか採取できないことなど、今度は生産効率が悪い。
今、壁にぶち当たって呻いている。さらに有馬グランドホテルではお庭番が
コシアブラを発見したから見に来いと言う。確かに径30センチもある大木があった。
群生も見られた。庭番氏は所有地を利用して栽培するという。

 うちひしがれる失敗はこの他にも沢山ある。どうしようもない山村生活に
途方に暮れたときに一新塾を発見した。きっと活路を見いだせる。
こんどは蜘蛛の糸ではなく。太い鋼鉄のロープに足がかりがつけられた、
登りやすくて安心なロープが天国の花園から下ろされるに違いない。

●一新塾での若人との出会い

 第23期名古屋地域科に入塾してまず驚いたのは、若い人ばかりの集団(*1)
であるという感じを受けたこと、まるで孫の入社式にきた年老いたお爺さんと
いう感じを受けた。果たしてついて行けるか不安がよぎった。しかし、それは
杞憂であった。気さくに話し合えるし、娘の指導はきつい指導であるがこの人たちの
パソコン指導は親切に教えてくれる。うれしい友人が沢山できた。若者は、通常、
70歳の爺さんを友人にはしてくれないが名古屋地域科だけでも10名は若い友人が
できた。

 すばらしいプレゼントではないか。若さを吸い取って若返る勇気がわいてきた。
この若者たちは問題意識があり、本気で前途を探る青年たちであるので、すばらしい
精神環境に恵まれることになり、自分に問題意識がある限り永続的なつきあいが
生まれる。

●現地調査と助言

 私の課題は「疲弊する山村振興」、わが町をモデルに山村の生き残る道を
針の穴をさぐるようにみつけ、実行することである。平均余命におまけをつけても
70歳の私は後15年の活躍期間しかないと覚悟している。後のない最後の人生航路
である。

 失敗と無策のむらへ東京、名古屋から助言どころか心の復活するお土産を持って、
しかも手弁当で訪問してくれるという。何とうれしいことではありませんか?

 6月27日〜28日、一行12名が新幹線+高山線特急乗って、さらにJR東海高山線
美濃太田駅からマイカーを連ねて七宗町を訪問してくださった。

 早くから予約した若い町長も出席してくれた。私と町長の夢、国の天然記念物
「甌穴」(ポットホール)のある国定公園【飛水峡】を世界遺産に登録の夢は、
成功の光が見えてきた。甌穴とは億単位の年月をかけて、硬い岩石の河床であった
岩盤に激流と石で何億年もかけて穿った岩穴である。多くは円形バスタブのように
大きく穿かれている。飛水峡には大小合わせて800穴以上の甌穴があると言われて
おり世界規模の甌穴群である。

 期待した蛍乱舞鑑賞は、ミニ乱舞であったが評価していただいた。ルート観光
のアイデアや渓流釣り学校も実現が具体化しそうである。一新塾の現場主義が
世界に向けて七宗の未来の扉を開けてくれた。

 引き続き、赤字の続く、日本最古の石、20億年前の石発見地にある
「石の博物館」にわんさと人を集める手立ても気づかせて頂けると期待している。
それが、主体的町民であると考えるようになった自分は一皮むけた青年に
若返った気がしている。

 ミュンヘンと神戸に在住する娘たちは、跡を継ぐ気配さえないが故郷の農地、
森、家を新たな視点で活用する目途も立ちそうである。

*1:ちなみに一新塾生の世代の分布は20代〜70代まで幅広いですが、
毎期の現役生全体の平均年齢は35〜39歳くらいです。

 

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■■■■          【 参加者募集!】
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■■          一新塾 第25期 説明会
■■■      〜東京・大阪・名古屋・福岡で開催!〜
■■■■         2009年11月8日開講
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 一新塾では11月に第25期を開講します。
8月より第25期説明会を開始いたします。
映像を交えながら、一新塾でどのように学び、どのように仲間と切磋琢磨し、
どのようにアクションしていくのかを、わかりやすくお伝えさせていただきます。

 激動の時代だからこそ、突き抜けたビジョンを描き、個性と可能性を存分に発揮
して新しい時代を拓いていきましょう!

 ぜひ、お気軽にご参加ください。

 【主な内容(予定)】-----------------------------------------------
      ●「自分の人生」と「社会の現実」を交じり合わせる現場主義で学ぶ
      ● 試練の時代こそ、ミッション基軸で社会変革!
      ●「根っこ力」のある人・ない人
      ● 社会の問題解決フレームワーク「6つの箱」
      ● 一新塾で生まれた『プロジェクト羅針盤〜タテ軸・ヨコ軸』理論とは?
      ● 誰もが社会創造に参加できる「志のコミュニティ」とは?  
      ● 一新塾で学ぶ1年間でどう変るのか?(学び、成長、発見、出会い)
      ● OB/OGとの交流タイム・質問タイム
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●東京会場
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 日 時:2009年
      (1)8月23日(日)15:00〜17:30
      (2)9月 2日(水)19:30〜21:30
      (3)9月 5日(土)15:00〜17:30

 会 場:一新塾セミナールーム
      [住所] 東京都港区芝3-28-2カスターニ芝ビル2F
      [地図] http://www.isshinjuku.com/01issin/i_chizu-1.html

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料

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●大阪会場
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 日 時:2009年8月29日(土)13:30〜16:00

 会 場:難波市民学習センター 第4研修室
      [住所] 大阪市浪速区湊町1丁目4番1号 OCATビル4階
      [地図] http://www.osakademanabu.com/namba/

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料

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●名古屋会場
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 日 時:2009年8月30日(日)13:30〜16:00

 会 場:ウィルあいち セミナールーム4
      [住所] 愛知県名古屋市東区上竪杉町1番地
      [地図] http://will-aichi.c-3.jp/map.html

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料  

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●福岡会場
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 日 時:2009年9月6日(日)13:30〜16:00

 会 場:アクロス福岡 701会議室
      [住所] 福岡市中央区天神1丁目1番1号
      [地図] http://www.acros.or.jp/access/index.html

 講 師: 森嶋伸夫(一新塾代表理事・事務局長)

 参加費:無料

 

 


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