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        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
         【第319号】 発行日:2008年2月12日
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目次
■ “市民力”による社会変革シリーズ
        〜先駆者のライフスタイル変革をモデルにせよ!〜

   【 第1弾 】 貝ノ瀬 滋 氏 (三鷹市教育長)
            〜日本初の地域で創るコミュニティスクール

                           レポート: 森嶋伸夫

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。

今回は「“市民力”による社会変革シリーズ〜先駆者のライフスタイル変革
をモデルにせよ!」と題しまして、三鷹市教育長の貝ノ瀬滋氏のお取組みを
紹介させていただきます。

一新塾生の活動レポートに加え、一新塾にお越しいただいた講師の実践から
学ぶ、「“市民力”による社会変革シリーズ」を今後、展開してまいります
ので、ご期待ください!

             “市民力”による社会変革シリーズ
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■■■■     先駆者のライフスタイル変革をモデルにせよ!
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■■     【 第一弾 】 貝ノ瀬 滋 氏 (三鷹市教育長)
■              〜 日本初の地域で創るコミュニティスクール 〜
■       
■                                 レポート:森嶋伸夫

 地域の人たちが学校の運営にも参加するコミニティスクールが全国の小学校
に広がっています。平成16年に地域の代表の方々が学校運営協議会というの
をつくって学校の問題について話し合い人事についても意見が言えるという
法改正が行われたわけです。

 その法改正に至るには、ひとつの先駆的なモデルがありました。
三鷹第四小学校です。このモデルを生み出した元三鷹第四小学校長であり、
現在、三鷹市教育長の貝ノ瀬滋氏に、昨年11月に一新塾にお越しいただきました。
以下、レポートさせていただきます。

 【貝ノ瀬滋氏プロフィール】
   1948年北海道生まれ。
   青年時代は、弁護士を目指して司法試験に挑戦するも、恩師の勧めで教職に就く。
   都内公立小学校教諭、東久留米市京委員会指導主事、都立教育研究所指導主事、
   東大和市教育委員会参事などを経て、東京都三鷹市立第四小学校校長に就任。
   04年10月から三鷹市教育長に就任。
   編著に「子どもの夢を育むコミュニティスクール」(教育出版)など。

●子供たちを取り巻く状況

貝ノ瀬氏は、子供たちを取り巻く現在の状況をこんな風にお話されました。

  『最近の子供は人に傷つけられたことには敏感で人を傷つけることに鈍感。
    勉強だけやらせればいいと思っていた先生、生き方の指導はしてこなかっ
    た先生。
    家庭も変ってきた。しつけが不十分。家庭の教育力の低下。
    さらに、学校に無理難題を言ってくる親(モンスターペアレンツ)。
    そして、地域はというと、人間関係が本当に薄くなった。
    地域社会は子供たちにとって通路、廊下、通過する場所になってしまった。
    学校が終わったら家に帰るか塾かお稽古事にいく。昔は、悪いことをした
    子供たち注意する大人もたくさんいましたけど、でも今は注意すると親に
    怒られます。なかなか難しい状況です。
    “仲間(友達)、空間(場所)、時間”3つの「間」がなくなったといえますね。』

さらに、未来を危惧してこう続けられました。

  『今の子供たちは少ないのに、資源がない中でこれからの日本を支えて
    いかなくてはならない。エネルギー問題、食糧問題、とかも背負って
    いかねばならない。
    今の先生、教師集団に経済的なこと、ものづくりの職人の世界を理解
    しているとか、教育的な課題も国際的なことも含めて、すべてを要求
    するのは限界がある。
    それだけにもっと学校は開かれて、地域に住む色んな立場の人たちに
    学校に入ってもらって先生方と一緒になって子供たちの教育にあたって
    もらう。大袈裟だったら手伝ってもらう。そういうことをしなければ、
    これからの日本はたちゆかない。間に合わない。』

●貝ノ瀬氏の決断

そんなお考えをめぐらせながら、貝ノ瀬氏は、一つの決断をされます。

  『私自身は、校長になった時(1999年)に、子供はもっとダイナミック
    に生きていかなくちゃならない、なんとかしなくてはならないと思っ
    たわけです。何とかして第1歩打開するにはどうしたらいいかと考えた
    のは、教育ボランティア制度なんです。
    つまり教師集団だけで子供を育てるとかいうケチくさい考えでなく、
    もっとダイナミックに地域の人材、市民の色々な力をお借りして子供
    たちにシャワーのように色んな体験とか知識とかを与えたいと、
    そう思ったわけです。』

この決意が、コミュニティスクールの先駆的モデル実現の原動力となりました。

  『学校の外に出ると、例えば菓子職人とかの方だって、その道の専門家、
    その道を何十年やってきた方はその道の哲学をもっていらっしゃる。
    そういう方に生で語っていただくと全然違う。本物の肉声は違う。
    子供たちに本物の体験を色んな世界の方に色んな角度からやって
    いただく。地域に住んでなくても色んなところから来ていただいて
    いますよ。』

そして、子供たちが変わり始めました。

  『勉強にしてもきめ細かい指導ができる。勉強が楽しい。次の勉強を
    待ち望む。勉強がわかった。ますます勉強が楽しくなる。ボランティア
    の方も子供が聞いてくれるし、感謝もしてくれるし道で会えば声もかけ
    られるし、ますます意欲が出てくる。先生については、新しい外の風を
    受けて先生自身が活性化してきました。』

●同志を巻き込むための知恵

しかし、1999年当時、新しいことを始めるには先生の抵抗もあったようです。

  『学校の先生にとっては毎日は授業参観のようなもの、先生たちは授業は
    見せたくないようなんです。自由にやりたいと思っているんですね。
    緊張もするし、抵抗はありました。』

それを乗り越えるために、貝ノ瀬氏の知恵が発揮されます。

  『私は1999年4月に校長になってから6月に「教育ボランティア制度を入れて
    コミニティスクールのような地域ぐるみで子供を育てるような学校に
    してゆきませんか」と言いましたら、「子供が落ち着かなくなって困り
    ますよ。」と言われました。
    そこで、一回ひっこみまして夏休みを待ちました。夏休みは子供がいない
    ので、先生たちは休みをとったり研修に行ったりします。
    ところが、日直の先生が必ず一人いるんです。ですから、私は毎日出勤
    しまして、一日一人って決めまして一日一人ずつ説得することにしました。
    職員会議で大勢でやりますとお互い相談して水が引く方に流れる恐れも
    あります。声の大きい人に引きずられることもあります。ですから、一人
    ひとりに決断を迫ったわけです。「協力してくれませんか?」と。
    大勢の前で威勢よく反対する人でも一対一になりますと、「先生がそこ
    まで言うのでしたら・・」ということになるんですね。』

 一人ひとりの先生に、一対一で、毎日!

  『40日間で全員の賛成をとりつけて、9月1日に始業式の後に、臨時の
    職員会議を開きました。それまで先生たちはバラバラですから相談でき
    ないわけですね。
    ですから臨時の職員会議を開きまして。冒頭に「私は休み中に先生方
    おひとりお一人に教育ボランティア制度についておはかりしたら、皆さん
    快く賛成してくださいました。ありがとうございました。では来年度から
    はじめさせていただきたいと思います。」と言いました。』

まさに、メンター力の勝利です!!
一人ひとりに深くじっくり関わられることで道が拓かれたのです。


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