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一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
【第292号】 発行日:2007年6月13日
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目次
■ 一新塾 講義録 (2007年6月6日講義)
『 チャレンジド(障害者)を納税者に!
〜関西から日本へユニバーサルの風をひろげたい 』
社会福祉法人 プロップ・ステーション理事長
竹中 ナミ 氏
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
先週6月6日水曜日。一新塾第20期、第一回目の講義は、社会起業とは
何であるのか、その真髄を垣間見ることのできた胸を揺さぶる機会となりました。
講師にお越しいただいたのは、日本一元気な女性で不良母さん?“ナミねぇ”こと
竹中ナミさん(58歳)です。社会福祉法人プロップステーション理事長として
福祉業界に大きな変革の波をもたらしました。
一新塾にお越しになるのは3度目。今回は金のメッシュの髪型でご登場です。
“ナミねぇ”さんは1948年兵庫県神戸市生まれ。24歳の時、二人目の子供(長女)
が重度の脳障害とわかり、療育のかたわら障害児医療・福祉・教育を独学。
1991年「チャレンジド(障害者)を納税者にできる日本」をスローガンに
就労支援活動「プロップ・ステーション」を草の根の任意団体で創設。
コンピュータ・セミナーを開催し、技術を習得したチャレンジドには就労を支援。
在宅で介護を受けながら働くチャレンジドの数はいまや約300人にものぼります。
※「プロップ」とは、ラグビーの「プロップ」と同じで「支え合い」という意味。
いったい“ナミねぇ”さんのエネルギーの源泉はどこからきているのでしょうか?
今回は講義冒頭に話された部分をお伝えいたします。
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■■■■ 一新塾講義録(2007年6月6日講義)
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■■ 『 チャレンジドを納税者に! 』
■■ 〜関西から日本へユニバーサルの風をひろげたい!〜
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■ 社会福祉法人 プロップ・ステーション理事長 竹中 ナミ 氏
●16年前にアメリカで障害を持つ方々が大同団結
まず「チャレンジド」という言葉について、
キーポイントになる言葉なので話をさせてください。
1990年にアメリカでブッシュ・シニアが大統領になった時、
ADA法(アメリカ障害者法)という法律が制定され施行されました。
「障害をもつアメリカ人は、もたないアメリカ人と同じように地域で生活し
学び、働きタックスペイヤーになる権利がある。そういう人たちだという
位置づけることこそが差別をなくしてゆく一歩なのだ。」
既にケネディが大統領になった時に言ったことなんですが、
具体的に法律になったのは、ブッシュ・シニアが大統領になった時でした。
その法律をつくる運動は、全米の障害者といわれる人たちが、障害の種別や
重い軽いを一切抜きにして大同団結しておこなわれました。
『こういう法律を大統領選の公約に掲げ、
実際大統領になった時に法律を施行してくれる人に私たちは票を入れる』
と戦略的に大同団結し大統領選を通して施行までに至ったのです。
●その人をどう見るか、が呼称に
その頃にアメリカで「Handicapped」「Disable Person」という言葉を
呼称にしているのは恥ずかしいのではないか、人権の国アメリカで、人間の
マイナス、不可能なところに着目している呼称はおかしいのではないか、と
言い方を変えようと色々な言葉が考えられました。その中で定着した言葉の
一つが「チャレンジド」という言葉です。
受身態は、「挑戦する使命や課題、資格やチャンスを与えられた者」
そういった人間の隠れた可能性に着目して,その人を否定的に見ないで期待して
ゆこう、巻き込んでいこう、一緒に社会を構成してゆこうよと、そういう思いを
込めた言葉だとアメリカの支援者の方に聞き、目からウロコ、、、でした。
日本では、「障害者」という言葉をかろうじて「障がい者」とかひらがなに
するとか、そんな具合なんですね。
「チャレンジド」をもっと良い日本語にできませんか、と聞かれたりします。
ですが、言葉というのはその国の文化であり哲学であり、思想なんですね。
だから「その人たちをマイナスの存在と見なさない」という意志、あるいは
「その人達に期待しよう」という文化や哲学がなければ言葉は絶対生まれない
ということなんです。
ですから、日本で障害者に代わる新しい言葉が生まれるとすれば、その時は
国民の一人ひとりの意識が、そういう風に変わった時なんです。
●『チャレンジドを納税者にできるニッポン』
そういう意味で『チャレンジドを納税者にできるニッポン』というのが
私達のスローガンなんです。つまり「おまえら障害者だけど納税者になれよ」
ではなく彼らがタックスペイヤーになりうるような考え方や文化をもった
ニッポンにしようと。
すなわち、彼らだけでなく全ての人が、男女とか年齢とか文化や立場の違いを
越えて自分の持っている力を磨いて発揮することができる。そして、その力で
稼いでゆくことができて、みんながその力によって支えあえるような日本に
しようと。
そうすることで何が起きるのかといえば、日本は未曾有の少子、高齢化が進ん
でいます。働けると言われていた社会を支える層の人たちの比率が少なくなって
支えられる側の人の方が増えてくるかもしれない。そこに突入した時に、もしか
したら、働くという概念とか支えるという概念が、みんながそうするもの、と
なるかもしれない。そういう国になってゆくかもしれないんです。
●日本の構造を変える
日常そういうことは考えないと思います。
私が切実に感じるのはなぜかというと非常に重い障害をもった娘を授かって
究極に思ったことが
「この子残して安心して死ねるニッポンかいな?」
だったからです。
こういう子も社会が守ってくれるニッポンだろうか?こういう存在の子も含んで
社会だといえるような意識と経済の裏づけのある日本だろうか?
という「日本の構造」が『自分と娘』の間にあるということに気がつきました。
一人で日本の構造を変えるとか、たくさんの方の意識を変えるとかは難しい。
だけど、同じような思いの方が集まって何か具体的なモデルを創ることができて
多くの人に受け入れられたら、社会の制度やシステムとして広がってゆくかも
しれない。もしかしたら、生きている間にそういう国になるかもしれないと。
そういう形で「プロップステーション」という活動が始まったわけです。
<ご参考>
○プロップステーション http://www.prop.or.jp/
○ナミねぇの部屋 http://www.prop.or.jp/kouho/namis_room/
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