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        一新塾ニュース〜市民力で社会一新!
         【第268号】 発行日:2006年12月25日
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目次
■ 塾生チーム活動レポート

       『現場視察に行って 』    一新塾第18期 豊田文子氏

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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。

「障がいをお持ちの方」と一緒にお仕事をされている方はいらっしゃいますでしょうか?
社会起業を志す、一新塾18期「のーま.job」チームは、『知的障がい者の就労支援』
として、コミュニケーション向上のプログラム作りに挑戦しています。

メンバーは多彩です。公務員の方、福祉施設所長、社会保障法を専攻の大学生、
ユニバーサルコミュニケーションをテーマにしている広告代理店勤務の方、
セカンドステージとして社会起業を検討している方、NPO職員の方、そして、
リーダーの豊田文子さんは心理カウンセラーです。

今回、豊田さんから思いのこもった現場視察レポートをいただきました。

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■■■     塾生活動レポート    
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■□             『現場視察に行って』

■─────────────────  一新塾第18期生  豊田文子


      「のーま.job」では、障がい者とか健常者とか区別や差別をなくし、
       共に生きる社会(ノーマライゼーション)を目指しています。

●プロジェクト立上げの動機

  私の家族の中に障がいを持つ人がいます。軽度の障がいですが、外に出ると
ツライ思いをすることが多いらしく、ずっと家の中だけで生活しています。
「障がい者が生きづらい世の中は、家族や周囲にとっても生きづらい世の中」
だと私は思います。もっと障がい者のことを知ってほしい。接すれば理解は
深まるはず。

しかし、会社で仕事をしていると接する機会が少ないという実感があります。
そして、今年は障がい者自立支援法施行の年。そのような現状から、このプロ
ジェクトを企業内、就労の場に絞りました。

障がい者専門の就労支援をしている会社数社にお話を伺ったところ、定着率
が低いという問題があると知りました。その多くがコミュニケーションの問題。
そこで、私たちのチームでは「コミュニケーションスキルを向上するための
プログラム」を作成し広めることを、就労支援とし、テーマとしました。
また、障がいについても3障がいある中で、チーム内の理解が深い「知的障がい」
に当面は絞って活動することにしました。

現場視察に当たり、2つの課題があります。それは、
「チーム内の障がいを持つ方に対する理解を深める」
「コミュニケーションプログラムのヒントを探す」ことです。
活動当初は特に「理解を深める」に力を入れ、障がい者施設3箇所と、
特例子会社1箇所を視察してきました。

●卒塾生が運営する施設を訪ねる

12月13日に視察した、横浜市にある施設(卒塾生が施設長)で感じたこと
を少し書かせていただきます。
今回は、チーム員有志(5名)に加え、森嶋事務局長に同行いただきました。

集合場所は、駅の改札。12:45に待ち合せです。
10分程早く着いて食事する場所を探していると、他のメンバー2人に遭遇。
駅前のベンチで、3人でランチタイム。視察はいつも平日。社会人で参加する
のは難しいところですが、毎回5名以上いるのは嬉しいことです。

時間通りに到着し、まずはお話をきく。約2時間、卒塾生ならではのお話は、
参考になるのはもちろん、多くのヒントをいただきました。

施設長のお話の中に「コミュニケーションの問題は大切。それから、朝起きら
れない限り会社には行けないけれど、知的の方は起こしてあげないと起きられ
ない人も多い。そういう生活面での援助も考えていかなければならない。」と
いうお話がありました。
社会人生活を送る上で、時間通りに起きることは、とても大切なことです。
こういった細かい点は、色々な方にお話をきかないと出てこないものですね。
非常に参考になりました。

  また、新しい言葉を教えていただきました。
「ICF(国際生活機能分類)」新たな就労支援の考え方の枠組みです。
「この考え方は、今後のプログラム作成に役に立つかもしれませんよ」と
教えてくださいました。

●利用者さんとの交流

その後、施設の利用者の方と自由にお話をさせてもらいました。

地上3F地下1Fの広い施設では、パンやクッキーの製造&販売、豆腐の
製造&販売、手工芸品の製造&販売、陶芸品の製造&販売、お米の精米、
喫茶室の経営をしています。知的障がいを持つ方が(登録者数65名)
その中で作業をしています。

今回は残念ながら働いている姿を見ることはできませんでしたが、それ以上
に大きな収穫がありました。それは利用者さんと自由にお話をさせてもらった
ことです。比較的軽度の障がいをもつ皆さんと、数十分雑談をしました。
「今日はいっぱいクッキーを焼いたの」「私は生地をいっぱい切ったよ」
「クッキー焼く機械を見せてあげる」「これが美味しいよ、買ってね!」
皆さん、誇らしげに自分の仕事の話をしてくれます。名前を聞いてくれたり、
施設を案内してくれたりしました。

特に今回は、利用者さんたちの帰り間際の空いた時間だったので、のんびり
お話できました。やはり話すことは大切ですね。メンバーも更に理解を深めた
ように感じました。

●視察の醍醐味

視察に行って思うことは「どこも一緒、ではない」ということ。
施設にしても特例子会社にしても、試行錯誤して色々なチャレンジをされて
います。そのお話を聞けることは非常に勉強になるし、多くのヒントを
いただけます。

また、チームのリーダーとして、チームの結束力や価値観みたいなものが
共有できるようになることも、視察の醍醐味だと思っています。ばらばら
だった障がいへの理解ですが、同じベクトルをもって理解が深まり、課題も
少しずつ進化しています。一人一人のチームメンバーが、とても重要な役割を
果たしています。私にはそれをまとめるだけの力量がまだ足りないのですが、
活動を通して“チーム力”がついていることだけは間違いと思います。
このチーム力をどう生かしていくかが、今後の私の課題です。

これからも色々な視察を繰り返すことになると思いますが、その先々で学び、
チーム力をつけていければと思っています。



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