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        一新塾ニュース〜市民力で社会一新!
         【第247号】 発行日:2006年7月6日
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目次
  ■一新塾講義ノート
   横石知二氏講義録『高齢化する農村が「葉っぱ起業」で甦る!』=====================================================

メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
蒸し暑い日がつづいておりますがいかがお過ごしでしょうか?

先日のニュース報道で、日本の老年人口(65歳以上)の割合が21・0%
で世界最高になる一方、年少人口(15歳未満)は13・6%で最低となっ
たことが、2005年国勢調査の抽出速報集計結果で明らかになりました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060630-00000073-kyodo-pol
世界に先駆けて日本は少子化、高齢化の時代の試練に飛び込んでいく
ことになります。

そんな中、高齢者が働きながら、お金も稼いでイキイキと元気に暮らして
いる町があります。徳島県の上勝町です。

上勝町は人口2,200人、町の面積の86%が山で、四国の町がつく町の中で
一番人口が少なく、高齢化率は45%を超えています。
しかしながら、お年寄りが主役となって高級料亭向けに季節の花や葉を
出荷する「いろどり事業」が年間販売額が2億5,000万円を超えるまで
に発展、出荷元の農家のおばあちゃんの中には70歳や80歳の方でも数百万
を稼ぐ方もいるといいます。

一新塾第18期の第一回目の講義では、上勝町より「いろどり事業」の立役者
である横石知二氏をお招きし、従来の発想を越えた方法で事業を産み、地域
を元気にしてきた横石さんの姿勢から学ばせていただきました。
以下、講義録の一部をご紹介させていただきます。

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  一新塾講義ノート(2006年6月7日)
 
  横石知二氏(株式会社いろどり代表)講義録
         テーマ『高齢化する農村が「葉っぱ起業」で甦る!』
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 ≪横石知二氏プロフィール≫
  1958年、徳島県生まれ。徳島県農業大学校園芸学科卒業後、
  上勝町農協に営農指導員として就職。16年連続で農産物売り上げを伸ばす。
  91年に上勝町役場に転籍。みかんやすだちしか生産していない町の農業
  形態を変えようと干しいもや椎茸などさまざまな挑戦の末、町おこし事業
  として「つまもの」の生産・販売を考えつく。
  2002年役場を退職し、(株)いろどりの専務に就任。生産ネットワーク
  構築のために同報ファクスに加えてパソコン導入も果たした。

■上勝町の第1号の「よそ者」として

 私が徳島から26年前(1980年)の上勝は、今の上勝とは全く違い
ました。

私は徳島市で生まれまして、上勝町にスカウトをされて行くことになり
ました。前の前の町長と組合長が相談して「誰か外から入れんか」という
ことだったんです。しかし当時は大反対。

 「どうして地元に人を雇うのに地元の子を雇わんのだ?」
  「よそ者を入れて税金を使うとはなんちゅうことだ。」

ということだったんですね。
しかし、その町長の方は『地元の人間では事業をできない』と言ったん
ですね。「田舎地域というのは都会と逆で、皆知っている、みんな親戚の
ような関係だから事業を推進してゆくことはできないんだ。」と。
これを26年前に言ったわけですね。

  少しだけ種明かしをしますと、今、上勝町が元気なのは、128名という
UIターンが入ってきています。Iターンの方は約50名近く入ってきて
いるんですが、ゴミを担当しているのはデンマークから帰ってきた24歳の
女の子。町内の御茶屋さんとかも、神奈川や東京の子、役場のホームページ
もすごくきれいにできてると思いますが、これも神奈川の子。もう全国から
集まってきて上勝町で活躍したいというメンバーがぞろぞろと、こう来る
わけですね。そして地域というのが運営されているわけです。

これが、26年前、第1号で私が行ったというわけです。(笑)

■田舎では、仕組みがなければ人を変えることはできない

東京では全然逆だと思いますが、田舎では絶対に仕組みがなければ人を
変えることはできないです。長年の生活の習慣から抜け出せない。日本の
農村が結局全部与えられるという環境の中にいる。誰かがやってくれる、
そういう環境の中で講演会とか視察とかを実施しても、家に帰ったら元通
りで何も変わることはありません。全部その場限りで終わってしまいます。

上勝が一番強くなったのは、「自分で考える」ということをできるよう
になったんです。

同じ道を通る習慣というのは、考えなくていいし、安心だし、変えたく
ないんです。「変えとうない」んです。だから、よそ者が入ってきたら
追い出し、自分を守ろうとします。これが都会と田舎の大きな差です。

「変えとうない」「安心」「考えなくていい」違った道に絶対に進もう
としない。こういう環境にどっぷり浸かっとったら、一回講演会聞いて、
自分の考え方が変わるということはないです。

だから、仕組みが必要なんです。
仕組みによって「違った道に進んでみよう」となるんです。

■地域リーダーから地域プロデューサーの時代へ

ではなぜ、仕組みによって「違った道に進んでみよう」となるのかと
いうと、これです。

今までは地方は「組織」という形でリーダーがおったんです。
県庁の職員さん農協さんとか。そういう組織の中にしっかりした夢を
持ったリーダーがおって「俺についてこい」と引っ張っていたんです。

それが、今の時代は99パーセント以上、そうできる環境ではなく
なってきました。そして、それに変わるものが今ない。だから一人ひとり
の力をつけて、地域全体をあげて活性化してゆく、、、、この方法しか
ないと私は思いました。

今、いくら市町村や役場で何かをやろうとしても、ものすごく足を
ひっぱられてしまいます。出る杭が打たれ、足をひっぱられ、「やりたい
のにやれないという環境」になっているわけです。

だから、従来の地域リーダーの仕事をしていた人が、地域プロデューサー
の仕事をする。個々の力をつける仕組みとして作りあげて地域全体を
持ち上げてゆく、その方法に変えたのが非常にうまくいきました。

■「自分のこと」にならなあかん

私は、“町の防災無線の活用による電波でファックスを送信する”
仕組みをつくり、高齢者専用パソコンを開発し、葉っぱビジネスの道具
として誰もが使えるようにしました。

そうすると、「自分のことにならなあかん。」ということになってきて、
問題意識を持つようになってきました。のんびりした生活から、脳を鍛え
なあかん、と。私が上勝に行った頃のおばあさんは当時60でしたが、
今は80半ば。今の方がはるかに能力が高いです。全然違います。
これほど違うかと思うくらい違います。

与えられた仕事「このことをしてよ。」と言われ「はい」といって
「1+1=2」の仕事をする。そうじゃなくて、「0のことを自分で1に」
しようとする。この考える力を毎日もってゆくということが、頭を非常
によくしてゆくわけですね。血の循環がよくなってきて顔にテリが出て
きます。若い子でも、目的を持たない子というのは顔が「大丈夫かな」と
思うような顔になってきますが。

人は、頭を使い、自分のことと思うようになってくると”テリ”が
でてきて、行動が伴ってきます。みなさん、年寄りというのは脳はぼける
と言いますが、どんどん頭は使えば使うほどいいわけです。

●一新塾有志による徳島県上勝町視察(05年11月)はこちら!
http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/event/sisatu_2005kamikatucyou.html

 


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