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一新塾ニュース〜市民力で社会一新!
【第242号】 発行日:2006年 5月 11日
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メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
一新塾発の女性社会起業家をご紹介させていただきます。昨年6月に
独立し、「芸術家のくすり箱」http://www.artists-care.com/ を
設立した第13期生の福井恵子さんです。
「芸術家のくすり箱」は、芸術家のヘルスケアを多方面から
総合的にサポートする日本初のプロジェクトです。芸術家の貴重な
才能がつぶされることなく有効に開花する仕組みを作り、芸術文化
の普及と発展に寄与することを目指しています。
今年4月4日には東京新聞に活動を紹介されました。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/thatu/20060404/mng_____thatu___000.shtml
子どもも頃から抱き続けていた熱い思いを、一新塾での同志との
出会いなどをきっかけに開花させた福井さんより、メルマガ読者の皆さま
にメッセージをいただきました。
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卒塾生メッセージ
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『 元がとれますか…? 』
「芸術家のくすり箱」代表
一新塾第13期生 福井 恵子
よく、一新塾にこれから入ろうかと考えている方から、「受講料を払った
分の元はとれますか?」と聞かれることがあります。
その答えはどこにゴールを置くかによって変わってくるのではないでしょうか。
●落ちこぼれだった一新塾での1年間
私が一新塾に入ったのは、たまたま知り合いがいたということがきっかけ
でした。やりたいことはあったけれど、そのために何をしたらよいか考え始め
た矢先に塾のことを知り、他にどんな機関があるかなどもよく知らずに来たの
です。
もともと私は、政治や経済の話題にとんと弱く、ディスカッションなど大の
苦手。プレゼンテーションなどしたこともなく、パワーポイントも使えない
という有様。そのような私と正反対の人たちに囲まれた一新塾は、初めから
カルチャーショックの連続で、ついていけないのではないかと思いました。
塾の中では数少ない女性でしたし、しかも私が扱う領域である芸術文化は、
普段はどこか社会から浮遊して社会的課題としてはあまり捉えられていない
もの。思い切りマイノリティでした。おまけに、その頃ちょうど仕事や
プロジェクトを複数かけもちしていたため、通うのも困難になってしまいました。
●それでもなお、残ったもの
そんな状況でもなお、得たものはたくさんあります。例えば、多彩な講師に
よる講義の中から、アイデアや生き方などについて、さまざまな刺激を受けた
こと。自分と違う種類の仕事や考え方の人たちと出会って、視野が広がったこと。
新しく始めた事業に必要なパートナーやメンターと出会い、また支援者を得たこと、
など。
一新塾では、芸術だろうが女性だろうが、そんな属性には関係なく、人の話を
いつも真剣に受け止めてもらっていたな、と思います。その安心感が、やるべき
ことは信じて進めてよいのだと、私の背中を押してくれたのではないかと思います。
●どこを見つめているか
もし、塾に属した1年間だけでみたら、通いきれなかったことなど、無駄にして
しまったと思うこともあります。けれども私が得たものは、その1年に限らず、
卒業した後からもずっと引き続き少しずついただいたものです。もとより、ゴール
は1年間の成果として事業プランを発表することではなく、それを実行して
ソーシャル・イノベーションを起こしていくことでしたから、1年で元をとると
いう発想はありませんでした。
よく、文化政策の分野では「効果は単年度主義では計れない」ということが
いわれます。単年度の予算で数値的な成果を求める行政と、長い時間をかけて醸成
する文化との時間的なギャップが、さまざまな議論を起こします。目標が大きかっ
たり、本質的であるほど、その成果は短期的・直接的には数値で計りにくいもの。
ソーシャル・イノベーションはある意味文化をつくるようなものだと考えると、
その人の目指すものがどこにあるかによって、元がとれると思うかどうかは答え
が異なるのではないでしょうか。
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