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      一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
     【第173号】 発行日:2005年2月23日

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▼目次
■『韓国現場視察報告!!』 青山貞一氏(一新塾代表理事)
■ イベントのお知らせ
(1)「一新塾入門ワークショップ〜新しい社会の問題解決手法を体験!」
【 東京 】2月26日(土)13:30〜18:00
【名古屋】3月19日(土)13:30〜18:00
【 大阪 】3月20日(日)13:30〜18:00
(2)「『政策担当秘書』へのご招待!」4月15日(金)19:30〜21:30
http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_mosikomi.html
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皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
2月17日〜20日まで、一新塾有志による視察団、代表理事の青山さん(団長)、
代表理事の片岡さん、理事の前澤さん、そして、現役生・卒塾生有志の合計
20名で訪韓してまいりました。

今回の視察は、韓国国会の若手補佐官有志からの一新塾メンバーとの定期的な
日韓政治・文化交流の依頼がきっかけで実現いたしました。
草の根での主体的市民の輪が世界に広がること、国境を越えての草の根交流が
まず日韓で始まること、継続的なプロジェクトが立ち上がり日韓協働モデルが
生まれることを目的に、韓国の国政、地方自治、電子民主主義、コミュニティ
ビジネス、そして、歴史の問題など多様なテーマを韓国の方々と一緒に考え
忌憚のない議論を交わす機会を戴くことが出来ました。

何より驚いたのは、市民パワーの政治への影響力の強さです。韓国の政治は、
主権者のチェック&バランスが機能しダイナミックで躍動感があるのだという
ことを実感しました。
それでは、団長の青山さんからホットな視察報告をお届けさせて頂きます。

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   『韓国現場視察報告!!』 青山貞一氏(一新塾代表理事)
 

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青山貞一@代表理事です。
 このたび「一新塾」の韓国現地視察に20名の塾生と参加しました。
そして20日、夜遅く無事、帰国、帰宅しました。

 今回は以下に示すスケジュールにあるように、本当に強行軍でした。視察が
終わると、私はホテルに帰ったとたん、バタンと寝てしまい、メールを送る暇
すらなかったのが実態です。もっぱら、森嶋さんはじめ半分ほどの団員は毎日、
午前3時〜4時まで二新塾、三新塾をされていたようですが(笑)。

 今後、順次、詳しく報告する(される)と思いますが、以下に私の印象を述
べたいと思います。今回の韓国現地視察は、さまざまな意味で得るものが多く、
有意義な視察であったと思います。

 アレンジメントをして頂いた中藤さんはじめ現地スタッフにこの場をお借り
して感謝の意を表します。ありがとうございました。

 私の大学のゼミには、学部、大学院とも韓国からの留学生がおり、議論する
機会が多く、本日も卒業生でオーストラリアに留学していた韓国の院生が研究
室に来られ、日韓関係について多面的に議論をしました。

【全体スケジュール】2005.2.17〜2.20

●1日目(木曜)
朝:成田発9時20分、
昼:インチョン国際空港1時30分着、空港からリムジンバスで韓国国会へ
昼食:国会議員秘書等による歓迎昼食会
  (韓国国会議員会館)
昼食後:北朝鮮拉致家族協議会会長(若い女性)との会合、彼女は会合後、東京
    で開催される拉致問題国際会議に立つ(場所:韓国国会会議室)、
    韓国国会副議長と議論(場所:韓国国会会議室)、
    国会議員(ノム・ヒョン大統領率いる与党ウリ党及び野党のハンナラ党
     議員等らと議論)(場所:韓国国会会議室)
夕方: 韓国国会見学(一院制、299名)
夜 : 国会議員補佐官(日本の政策秘書)、秘書ら30名以上が歓迎懇親会
    を開催してくれました。
    終了は午後10時すぎ

●2日目(金曜)
午前中:参与連帯(韓国の有名な”落選運動”の母胎、NPO
    弁護士100名、大学教授300名、会員1万3000人)、
    参与連帯の事務所で2時間議論、
    ソウル市内の高架道路→河川への修復現場視察
昼食時:ソウル市議会議長、ソウル市議会与野党議員らに
    よる歓迎昼食会、昼食をしながら議論(場所:プレスセンター)、
午後:ソウル市副市長と面談(場所:ソウル市役所)、
    ソウル市ビデオ視聴(場所:ソウル市役所)
午後:ソウル中心市街地から京畿道水原市にバスで1時間30分移動
午後:京畿道副知事と議論(場所:京畿道庁議会会議室)、
    京畿道水原の世界遺産「華城」を歩いて見学、
    (マイナス2度)
夕方:愛の声放送局視察(身障者向けインターネット放送局、
    ボランティアのインターネット放送局視察、事務所)、
夜 :韓国の若手IT関連経営者(30名近く)と懇親会

●3日目(土曜)
午前中:ハンナラ党本部で幹事長はじめ幹部らと面談
    (Q&A形式、場所はハンナラ党本部)
昼食時:韓国国会議員補佐官、秘書らによる昼食会
    (船上レストラン)
午後 :西大門刑務所歴史博物館見学
    (日本軍が韓国人を虐待、処刑した刑務所を詳細視察)
    その後、ソウル市内を徒歩で視察
夕方 :韓国長老議員らによる歓迎夕食会
    (場所:ソウル市内レストラン)
    終了後、KBS(韓国のNHKのようなテレビ局)の部長が参加。
夜  :韓国のインターネット民主主義を実践している学生、
    若者らと懇親会(大学路のカフェレストラン)

●4日目(日曜)
午前中:午前7時にホテル出発→地下鉄でソウル駅→北朝鮮と
    接するDMZ(非武装地帯)でもっとも北朝鮮に近い
    場所に汽車で移動
昼食時:簡単に昼食後、さらに北朝鮮に近いイムジン河畔の
    展望台に列車とタクシーで移動、マイナス8度
夕方 :ホテルに一端戻り、インチョン国際空港にタクシーで
    移動→5時10分初のアシアナ航空で成田に帰国

◆総合的印象

 実質3日の短期間の視察でしたが、連日、韓国の国、道、市の政治、行政
分野の首脳、市民団体、企業のキーパーソンと会合し、議論ができました。
同時に可能な限り現場を視察しました。これは現場主義、議論、政策提言を
モットーとする一新塾の設立趣旨にも合致するものでした。

  とくに関心したのは、今の韓国では学生、若者が高い社会意識と政治意識
をもち、インターネットなど媒体やツールを駆使して具体的、自律的、自主的
に政治経済、社会分野で活動していることでした。

  自分たちが社会を変える、そのために政治を変える、と言う強い認識と意志
をもち、同時に私たちが言う「観客民主主義」や単なる「手続民主主義」を
超えて、具体的にコンテンツに踏み込み活動していることが、何ともすばらしい
ものでした。これは私の研究室の学生、大学院生との議論にも共通することです。

  このような潮流は、ビジネスやNPOの世界でも同じであると思えます。
愚痴、文句、批判、揚げ足取りに暮れているのではなく、活発に議論しつつも、
具体的に社会変革を実践している、しようとしていると感じました。

  一番多くの時間を費やした政治では、国から道(日本の県に近い)、政令市
まで政治家そして政治が若者のダイナミックでドラスチックな活動の”うねり”
をもろに受けている痕跡が国会議員から市議会議員まで、あちこちにありました。
これは与党、野党共通のことです。

  とくに高齢や当選回数の多い政治家は、若者のそれらの動きに、おろおろし
ているのがに印象的でした。また与野党それぞれが、さまざまな分野で具体的
に競いあっている様は、今の日本ではあまりお目にかかれないものでした。

  一方、市民団体は、後述する「参与連帯」に象徴されるように、韓国では、
市民レベルでの政治家の「落選運動」、「電子民主主義」など、政治、行政、
司法への参加とともに、シビアーな監視運動が広まっているようです。

●木曜日(1日目)

 昼にインチョン国際空港に到着し、リムジンバスで韓国国会へ。
 国会議員補佐官(政策秘書ら)による歓迎昼食会。
 場所は、韓国国会議員会館です。

 昼食後、国会の会議室で北朝鮮拉致家族協議会会長の若い女性(催祐英さん)
と会合。彼女は父親を北朝鮮に拉致されています。
 
  今回の現地視察の最後で後で分かったことですが、韓国では与党(ウリ党)
は北朝鮮問題では金大中氏らの太陽政策を引き継いでおり、野党(ハンナラ党)
は、その前身が大量に北朝鮮に拉致された韓国人が韓国から解放された際、
500人以上に及ぶそれらの人々をスパイの疑いで弾圧したそうです。そんな
こともあり、現在、国レベルでは与野党とも、北朝鮮拉致問題に積極的に触れ
たがらない政治状況があるようです。これはあちこちで実感しました。現に
日本では連日、北朝鮮拉致問題をテレビが放映しており拉致家族への理解が
ありますが、韓国では催祐英さんらへの支援は日本に比べると少ないようです。

 その後、国会の会議室で韓国議会の副議長、与党ウリ党議員、野党ハンナラ
党議員と議論しました。ウリ党、ハンナラ党の政治理念と手法、経済政策、
社会政策などの本質的、決定的なな違いがどこにあるのかなどを聞きたかった
のですが、時間の関係でごく一部しか聞けなかったのが残念でした。出席した
ウリ党の若手議員はいずれも学生運動出身者とのことでした。

 夕方から韓国の国会議事堂を見学しました。韓国議会は一院制で議員数は
現在、299名です。ご承知のように韓国は大統領制であり、日本の議院内閣
制とはさまざまな意味で違いがあります。議事堂見学では、大韓民国の議会の
歴史についても女性の通訳兼解説者から詳しく説明を受けました。

 夜は国会議員の補佐官(日本の政策秘書)や秘書ら30名以上が私たちの
歓迎懇親会を開催してくれました。おそらく3時間ほど、食事とお酒を飲み
ながら議論しました。私はハンナラ党の朴補佐官の隣に座ったのですが、
朴さんはおそらく補佐官で一番の酒豪。喘息でまったく飲めない私は、大変
でしたが、共通語の英語と前に座られた女性のバスガイドさんの通訳で日本
と韓国の政治状況を徹底議論することができました。

 バスでホテルへ帰ったのは午後10時30分過ぎだったと思います。
その後、午前3時過ぎまでホテルの隣の屋台で飲んでいた塾生が多数いた
ようです。

●金曜日(2日目)
 午前最初に訪問しましたのは、今や世界的に有名になった「参与連帯」です。
このNPOは、現在100名の弁護士、300名の大学教授、1万数千名の
会員を持っています。参与連帯は、国民の支援のもと、まさに体を張った運動
を連日展開しているようです。

 名誉毀損裁判を受け、損害賠償がかかることもあるそうですが、それをはね
のけ、議会、行政、司法の常時監視をしています。もっとも有名な活動は
2000年及び2004年の国会議員選挙での落選運動で、多くの実績をもち
国民の指示を得ているそうです。
 このNPOは行政、企業から一切資金の援助を受けず、国民、市民ひとり
ひとりからの会費で運営されています。ちなみに予算規模は日本円で1億円近く
に達しています。また参与連帯の提案がきっかけとなり韓国の政治制度や政治
資金制度(法)ができているとのことです。参与連帯に関しては、私のHPで
詳細を紹介します。

 参与連帯のあと、ソウル市の副市長と接見し議論しました。
 私の専門分野であります公共政策、環境政策の分野でも、たとえば1000万都市
ソウル市の中心部の高速道路を壊し、河川として蘇生、復元させている事業に
も議論が及びました。前澤理事から復元工事に際して沿道にあった露天等の扱い
についての質問もでました。この事業の工事現場はバスから何度となく視察する
ことができました。
 ちなみに、数年前韓国に国際学会で行ったときは仁川国際空港近くの大規模
干潟をつぶしてつくった淡水湖(ダム)により水質が極度に悪化し、一端つくっ
たダムの水門を開けていましたが、今回はさらにドラスチックな都市の環境再生
を目の当たりにみたことになります。

 昼は1030万の人口を擁するソウル市議会議長そしてハンナラ党、ウリ党
の市議会議員らとプレスセンターのレストランで会食をしました。食事をしな
がら議論を行いました。ここでは片岡代表理事が、議員定数の削減や報酬の
カットなどを質問するなかで、地方議会のありかたについて有意義な議論が行
えました。

 午後は、ソウル市から京畿道水原市までバスで1時間30分ほど移動しました。
京畿道庁を訪れ、副知事と約1時間議論しました。私の関心との関連で言うと、
京畿道では、環境保全のために都市の「成長管理」についても言及されました。
 会談後、世界遺産に指定されている京畿道水原市の「華城」を団員皆で歩き
ました。寒いなかでの世界遺産見学でした。
 
 初日、二日目で私にとって印象的だったのは、国会議員、市議会議員、
副知事、副市長らとの会合で、韓国では「環境」や「環境政策」があらゆる
場面でキーワードとなっていることでした。

 この日の夜は、「愛の声放送局」と言い身障者を対象としたインターネット
放送局を視察し、その後、インターネットを媒体とした双方向の電子民主主義
活動や、それを支えるソーホーに近いITビジネスのCEOらとソウル市内で
会食しました。

 会食ではソウルの若手の経営者、指導者と若者がビジネスと政治で有機的な
連携をしていること、また政治、NPO、ビジネスなど、あらゆる側面で女性
の積極的な社会参加があることが分かりました。

●土曜日(3日目)
 土曜日は午前中ハンナラ党本部で幹事長ら幹部、職員と議論しました。団員
からも質問がだされ、ひとつひとつ丁寧にこたえてもらいました。

 土曜日の昼は補佐官(日本の政策秘書に近い)のはからいで船上で昼食を
となりました。

 午後は日本軍が戦前、独立運動を行う韓国人を投獄、拷問、処刑したと
言う「西大門刑務所跡地歴史博物館」を視察しました。おりしもマイナス5度
より低い気温。ここには2002年に小泉首相、その後日韓議員団数十名が
訪問したそうです。ここでは、韓国の学生らがボランティアで通訳をしてくれ
ました。

 夜は韓国の保守派で元軍人最長老の朴さんらと会食し議論しました。
食後、ソウル及びその近郊に住む学生等とカフェで2時間ほど談笑しました。

●日曜日(4日目)
 最終日の日曜日は仁川国際空港の帰国時間まで空いた時間に、電車、
タクシーをのりつぎ、北朝鮮に最も近い国境線(非武装地帯)を視察しました。
北朝鮮問題についても、日本での議論とはまったく異なる状況、事情があるこ
とも分かりました。



   



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