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        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
        【第106号】 発行日:2003年10月7日
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【目次】
 ●草の根からの生活者維新レポート
  「現場視察体験記〜真の循環型社会に向かうカナダ・ノバスコシア州」
                       平野 操 氏(第12期生)
 ●市民からの行動のヒントをお伝えします!
   ・第13期説明会(10月7日、ほか)
   ・「政治の世界にビジネス感覚を活かしたら?」(10月9日)
   ・「ソーシャルアントレプレナーへの転身」(10月13日)
   ・「日本にチャータースクールを実現させる!」(10月14日)
   ・「衆院選とマニフェスト」(10月17日)
   ・「カナダ・ノバスコシア州廃棄物資源化戦略現場視察報告会」
                          (10月18日)
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皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
一新塾では毎年、代表理事の青山貞一さんを団長に海外視察を行っています。
昨年は台湾環境行政視察ということで廃棄物処理施設を回り、最終日には台
湾の環境署副署長と議論する機会を得ました。
今年は9月1日より8日までにカナダのノバスコシア州ハリファックス市へ、
一般廃棄物資源化政策の現場視察に7名の一新塾生が参加をしてきました。
今回はこの視察に参加した12期生の平野さんからの体験記をご紹介いたし
ます。
尚、10月18日(土)には一新塾にて現場視察報告会を予定しています。
  

■■ 現場視察体験記
■■ 〜真の循環型社会に向かうカナダ・ノバスコシア州


                           平野 操
                        (12期政策提言コース)

●いざ出発〜視察のビデオ撮影を任される

 このたび9月1日〜8日まで約1週間、環境総合研究所主催のもと28名
 (団長:青山貞一さん)で、カナダのノバスコシア州ハリファックス市へ、
 一般廃棄物資源化政策の現地視察へ行ってまいりました。
 成田空港で環境総合研究所の鷹取さんに送っていただき、その時に私は現
 地視察の一週間のビデオ撮影を任されました。
 成田を飛び立ち12時間でニューアーク国際空港へ、その後トランジット
 で約4時間待ち、ニューアークよりハリファクスまで1時間30分、長い
 空路で夜中の到着となりました。次の日から密度の濃い視察旅行がスター
 トいたしました。
 視察初日の夜には歓迎レセプションも開かれ、カナダ側からは、州政府の
 環境大臣、政府関係者、RRFB(資源回収基金委員会)、現地自治体担当者、
 民間業者、NGO、現地大学関係者(日本人通訳の学生6名)と日本の我々、
 28人が主だったメンバーとなりました。
 場所も我々の滞在したホテルのすぐ近くの、函館市の五稜郭のもととなっ
 た世界的観光スポットcitadelで行われました(塀に囲まれた要塞、戦闘
 には1度も使われていない)夜レセプションが終わった後、星と月だけの
 光りに照らされただけのうす暗い要塞を歩くのは、不思議な雰囲気を感じ
 させられるものでした。

●私が参加した理由

 今回、私がこのツアーに参加した理由はグリンピースと環境総合研究所の
 共催のイベントで、2020年までにゴミをゼロに、”ゼロ ウエスト政
 策”という世界的な流れを知り、セントローレンス大学のポールコネット
 博士や青山さんのお話を聞き、日本の焼却主義は間違っている”燃やす”
 のではなく、地球の資源を再利用するにはどうするべきか考えたいと思い
 参加いたしました。
 日本のゴミ政策は『焼却』『埋め立て』が中心です。
 焼却がなぜいけないと言うと焼却炉でなんでも燃やせるようにすると、ゴ
 ミがいつまでたっても減らず、ゴミの減量ができなくなります。また、製
 造者に責任を負わせることもなく、自治体が負担する形でどんどん燃やさ
 れると大量の炭酸ガスが出ます。
 
 埋め立てがなぜ悪いかというと、メタンガスが出るほか、病原性の微生物
 や有害物質の地下水、表流水への混入、悪臭物質の大気中の拡散などがあ
 げられます。
 日本では特に干潟などの浅海域が狙い撃ちされて埋め立てられています。
 この環境破壊は非常に大きく深刻で、我々の知らないところで環境破壊
 (生態系の破壊)が進んでいるのです。
 
●実感した日本との決定的な違い

 一方で今回見てきましたノバスコシア州の政策は、日本の政策のように廃
 棄物を“ゴミ”とみるのではなく、”資源”としてみている所が、日本と
 の決定的な違いだと思います。
 カナダでは、生ゴミの堆肥化、タイヤのリサイクル、ペットボトルのリサ
 イクル(デポジット制度の導入)、スーパーのレジ袋のリサイクル(スー
 パーで回収している)、プラスチックのリサイクル(漁業用の網、建設用
 の柱などになる)、ペンキのリユースなど、リサイクルするのが前提となっ
 ており、最終処分場に行く量を最低限にしてしているところが、日本の廃
 棄物政策との大きな違いだと感じました。

 経済性の問題からみても日本のゴミ処分費用は1人あたり、約18,000
 円でカナダの”資源管理の費用”は10,000円弱となってます。 
 東京都23区の清掃工場の財源を総括している「東京23区清掃一部事務
 組合」の一般会計をみると、予算の699億の内(平成15年度)、90
 億が債券でまかなわれているそうです。この数字をみてもいかに焼却が高
 コストかがわかります。

 もう一つの経済性”雇用”の面からみてもノバスコシア方式の採用により、
 新たに埋め立てていた時よりも、1000人の雇用が創出され、現在、廃
 棄物資源化の関連雇用は約3000人ある。ゴミとして廃棄するよりも資
 源化する方が、10倍多くの仕事ができるとの報告書もあります。
 また、ノバスコシアの行政マンにお別れレセプションの時に、日本の警察
 の持っている様な環境警察手帳を見せてもらい、『これは環境警察の手帳
 で、いつでも企業などに立ち入り調査ができる』、警察手帳と同じ効力が
 あるとのことでした。

●根底に住民の意志の強さ


 いろいろな工場の責任者の説明を受けて感じたことは、彼らの意志の強さ、
 いわゆる3Kの職場でもみな誇りを持ってやっているということ。
 1980年代後半、住民が埋め立て地の立地の選定で”脱”埋め立ての運
 動を起こし、市民団体が市民を先導して行政を動かし、現在の”循環型社
 会”を築きました。

 いままでの利益優先型の環境に配慮しない企業経営を見直すこと、自治体
 に任せっきりにするのではなく、企業が積極的に回収しリサイクルを押し
 進める(拡大生産者責任)、リサイクルにコストはかさんでも社会の総体
 としては必要なことであり、廃棄物を減らす第一歩だと思います。
 青山貞一さんがNHKの方と、ビールの容器の種類を調べたところ500
 種類あったそうです。目先の企業利益ためだけの、過剰な刺激による資本
 主義社会の裏で廃棄物は増加の一途をたどってきました。
 
 ビール会社はなるべく缶による販売をやめて、ひと昔前のリターナブル瓶
 を多く採用するべきです。そして瓶の回収率を上げるためにも120円で
 売って、販売店に消費者が瓶を返したら20円戻すというようなシステム
 を広く構築するべきです。
   
 いま我々が求められていることは何か、大きい項目で2点あると思われます。
 一つ目は、物質的には成熟社会を迎え、今は物ではなく”精神的な成熟”
 が求められていること。二つ目は、子孫に残せる環境をどう”一人ひと
 り”が考えていくかということだと思います。 

◎現場視察報告会を開催します!--------------------------
   日 時:10月18日(土)13:00〜15:30
   会 場:一新塾セミナールーム
   内 容:カナダ・ノバスコシア州廃棄物資源化戦略の現場視察報告。
       参加した一新塾生による映像・写真を交えながらの視察報告
       です。ご関心ある方はぜひご参加下さい
※終了後、説明会もございます。



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