☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆
        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
        【第104号】 発行日:2003年10月1日
☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆
【目次】
 ●草の根からの生活者維新レポート
       「住基ネットに疑問を持った1年」
                  大和田諭史氏(第8期・10期OB)
 ●一新塾からの耳より情報
   ・第13期説明会(10月7日、ほか)
   ・「政治の世界にビジネス感覚を活かしたら?」(10月9日)
   ・「ソーシャルアントレプレナーへの転身」(10月13日)
   ・「日本にチャータースクールを実現させる!」(10月14日)
   ・「衆院選とマニフェスト」(10月17日)
___________________________________________________
皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
一新塾での議論は、「社会がこうあるべきだ」という結論を出して終わりでは
ありません。「それで、あなたはどう行動しますか?」を問い、自ら現場に飛
び込み、行動に移していくことをモットーにしています。アクションの方法は
実に様々です。議員へ政策提言をする、出版を通じて発信する、自ら脱サラし
て立候補、NPOやコミュニティ・ビジネスで起業・・・など。
ビジネスマンの大和田さんは、仕事の合間をぬって地元での市民活動をはじ
めました。一新塾講義でテーマとなった住基ネットに疑問をもったのがきっ
かけでした。今回は、大和田さんにご投稿いただいた体験談をご紹介いたし
ます。
         

    ■■「住基ネットに疑問を持った1年」■■
       
                     一新塾8期10期生
                     住基ネットを考える所沢市民の会
          代表 大和田諭史

●自ら立ち上げた市民活動

 昨年6月に自分で「住基ネットを考える所沢市民の会」を立上げ、また住基ネッ
トが昨年8月5日に開始され、1年が経過しました。この1年、市民に対しては、
講演会の企画や広報、署名運動、ホームページの作成など、行政に対しては、住
基ネットの中止請求や異議申立て、質問状、職員による出前講座の企画、議員に
対してはアンケートなど、様々な活動をしてきました。また、同じように住基ネッ
ト反対の運動をしている各地域の人々とも交流をする事が出来ました。

●現場で感じた市民の不信感

 市民の住基ネットに対する考え方は人それぞれですが、行政に対する認識につ
いては大変厳しいものばかりでした。例えば、行政側は市民のプライバシーをしっ
かり守る立場ではなく、むしろ漏えいするのではないかという不信感。住基ネッ
トは全国規模のネットワークで、複雑で難しいIT技術も要求されています。全
国の職員は、しっかり理解しているのか、という問いかけであり、漏えいも全国
規模で起こり得る、という問いかけでもあります。
 また、電子自治体といいながら、一人1台あるパソコンで中身のある仕事をし
ているのか。市役所でも他行政施設でも人が余っているのではないか。これは、
住基ネットや電子自治体が、人員の削減による効率化を全く説明していないため
に生ずる不信感です。

●市民は気がついている!

 お金(税金)の使い方も同様です。低成長・マイナス成長の時代で、税収の減
少、財政赤字の増大、地方交付税の削減など行財政事情が逼迫しているにもかか
わらず、市民に説明できる目に見えた効果に乏しいIT公共事業に、多額の税金
が注がれています。地方の主体性も示さず、中央の指示通りの予算編成。ITが
いわゆるハコモノ行政に変化して来ています。その最たるものが、今年の8月
25日から発行された住基ICカードであります。使える機能やサービスがほと
んどないのにコンピュータ機能のあるカードを市民に配ろうとしています。IC
カードという大きな箱だけを与え、そこにこれから多額の税金がかかる機能を多
数追加しようと考えているのです。ITといえば予算がつき、それが中央からの
指示なら絶大で、疑問の余地も発生しない体質ですが、市民は、それはおかしい
と気がついています。

●疑問の声を出さない自治体

 議員の反応も住基ネットに疑問を示さないさめたものがまだまだ多いように感
じます。長く続いている中央からの補助金、利権、公共事業と、おんぶにだっこ
体質が中央に対する地方の立場をしっかり主張する精神を麻痺させているようで
す。
 そして、国(中央官僚)に対する、不信感です。地方分権、地方自治といいな
がら、住基ネットは極めて中央集権的なネットワークであり、市民や自治体の理
解がないまま、市民の個人情報を地方から中央に移してしまいました。
 これらのように市民の目は、本当に厳しいです。疑問を声に出し、住基ネット
から離脱をした自治体は極わずか。少しの疑問も声に出さなかった自治体がほと
んど。残念ながら所沢市もその一つです。
 所沢市では昨年2002年度に行政評価(事務事業評価)を行ないホームペー
ジ上で公表していますが、どの業務も、おおむね妥当、達成、効率的と自己評価
をしています。言われた事だけやる、前例にしたがって行う、そしてそれを自己
評価し、自己保身の材料にしてしまう。まさに「守り」の評価と言えます。市民
の目を意識しているとは思えない内容です。

●様々な主張を持った市民が共同歩調で行動に!

 長野県では田中知事が、住基ネットへの取組みの見直しを公言しました。田中
知事は、「既に800億円も投じた住基ネットが実は、安全性に関して市町村の
みが責任を負わされ、総務省は何ら問われないお粗末なものであることが判明し
た。長野県は総務省の外郭団体に一元管理を委任する形を見直し、個人情報の保
護に全力を挙げる」と話しています。

 埼玉県でも8月31日に行われた県知事選挙で、「4年以内の廃止を含めた住
基ネットの見直し」をマニュフェストで掲げた上田清司氏が当選しました。早速、
住基ネット見直しで活動している埼玉県全体の市民団体や市民が集まり、共同歩
調でこのマニュフェストの実行について考え、支え、行動していこうと意見交換
を行いました。集まった市民はマニュフェストのすべての項目に賛同しているわ
けではなく、様々な主義主張を持つ市民(一新塾と同じ)ですが、住基ネットに
関しては一致したのです。

 一新塾で学んだこと、住基ネットの市民運動で得た事を大切にし、これからも
皆さんと一緒に行動していきたいと思います。

【住基ネットを考える所沢市民の会】
http://www1.jca.apc.org/juki85/tokorozawa


一新塾ニュース「今のニッポンを変えろ!」メールマガジンのページに戻る