7月13〜15日まで環境総合研究所長の青山貞一さんを視察団長として台湾環境行政の視察に行ってまいりました。
これまで、一新塾有志で「台湾視察」に出かけておりますが、2年前が総統選挙、昨年が立法院選挙といずれも選挙関連の視察でした。今回は『環境行政』をテーマに青山団長、一新塾有志13名、ゴミ弁連の弁護士3名で現地入りしました。
「焼却炉」「下水処理施設」「埋め立て施設」「CH4 リサイクル施設」の視察や環境保護署の幹部(環境保護署副署長の張祖恩氏、総合計画局副局長の黄光輝氏等)より、率直なお話をお聞きすることが出来、予想以上の成果がありました。
●焼却炉建設費
一般廃棄物を燃やす焼却炉(ストーカー炉)日本では5000万円/トン(焼却量)が台湾では、1500万円/トン。なぜ、こうした価格差があるのか、切実な議論となりました。背景には、日本では行われていない国際競争入札がありました。世界から安くて質が高い技術を調達したわけです。視察した焼却炉はデンマーク製で、日本の焼却炉より性能も勝っている上に、発電機もついており16万人の1ヶ月の使用料を賄います。国際競争入札を日本で実現させるために何が阻害要因になっているのか、調べていきたいと思います。
●行政へのチェック機能
また、台湾環境署幹部の方に、台湾の現状のお話を包み隠すところなくジックリお聞きすることが出来ました。「埋め立て地の底に敷く防水シートは破れることはないのか?」「あります。しかし、すぐ調査し、対策を講じます」と幹部の方は答えましたが、日本の官僚では、このような率直な言い方をすることはまずありません。ありのままの事実を受け入れ、おかしいとなればすぐ軌道修する姿勢があります。そこには、3権分立ならぬ5権分立の体制の作用が働いています。「立法院」「行政院」「司法院」の3権に加え、「観察院」(公務員の弾劾、糾明を行う)「考試院」(公務員の登用試験、審査任用を行う)による、行政へのチェック機能がありました。
●政治のリーダーシップ
台湾は、必ずしも全ての面で環境配慮が行き届いているわけではありませんでしたが、いざ、問題であると認識するとその問題解決のための施策のスピードには驚かされました。現在、杉並区でレジ袋税条例が成立しましたが、実施日については、揉めていて未だ決まっていません。台湾では、公的機関では7月から、民間でも来年1月からレジ袋は禁止になります。また、10月からは街中のレストランのほとんどが使っている発砲プラスチックの器を禁止にします。
●政権交代
台湾では政治のリーダーシップと行政へのチェック&バランスがしっかり働いています。2年前の総統選挙での政権交代で市民が民主化を勝ち取った、その自信が感じられました。日本においては、官僚支配から民主主義を勝ち取ることこそが一番の課題であると感じました。
今後も一新塾では、定期的に台湾視察を続けてまいります。また、ご報告させていただきます。(視察の模様は一新塾HP http://www.isshinjuku.com/でご紹介しています)
森嶋伸夫(一新塾・事務局長)