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大前研一の一新塾ニュース  第63号 

発行日:2002年7月26日

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「〜身近なところから市民参加の街づくりをすすめる〜
横浜開口の会からYOKOHAMA93rdsへ」

一新塾7・9期生
                          河合 利彦

●3・31横浜市長選に関わったきっかけ

私が「横浜ショック」と言われたこの動きに関わったきっかけは、市長選の際、勝敗を決した「青葉の乱」の地、横浜市青葉区にたまたま転居してきたことから始まりました。偶然が偶然を呼び、いろいろな出会いや展開があり、気が付けば「30・40才代発〜横浜開口の会」の立ち上げの場にいました。

 「横浜開口の会」としては、11月に同世代の市議との会合を開催し、2月末の中田現市長への正式出馬要請までを行い、結果的に主要政党相乗りの現職市長を打ち破るという大きな成果を挙げることができました。
 候補擁立活動、選挙選本番を含めて、いろいろありましたが「開口の会」としてこだわったことは、政治のプロやその周辺にいる連中ではなく、また市民と乖離したバリバリの市民活動家でもない、 ごく一般の住民が市長選をまともに捉えようということでした。普段は市政がどうなっているのかなんて、関心を払っていないのが、普通の市民であり、4年に1回しかない市長選であれ、半年前には3月にあること自体を知らない人の方が大多数だったわけです。かくいう私もその一人でした。

●地方政治の問題

選挙戦を通じて気づいたことは、2つあります。
1つは公職選挙法の問題、もう1つは地方政治の情報が伝わらない、大手マスコミがまったく当てにならない、ということです。公職選挙法の問題点は端的に言えば、現職候補・既成政党に圧倒的に有利だということです。そして、選挙に関心を持たせないように、持たせないようにとしているとしか思えない不可思議な規定です。マスコミも地方の政治関係の話題と言えば、行政当局発や既成政党支部発の情報ばかりで、市政記者クラブなど市役所の中の御用聞きのような体たらくですから、肝心なことは伝えませんし、全国紙の地方版で注目度が低く、影響力があまりありません。

横浜という全国最多の人口(約350万人)を擁する市の首長選挙ですら、扱いは一地方ニュースレベルです。(本来は地方のことは、地方の媒体で流通するべきですが、首都東京の近隣に位置する横浜では、国政に対しては高い関心を持っても、生活している市の行政については全く関心のない人が多いという
実態があります。新興住宅地では特に顕著です)また、選挙前になるとテレビでは一切話題に触れられませんでした。(公正な放送の確保ということでしょうが、当選してみれば、各方面から新市長が引っ張りだこになるのですから、まったく現金なものです)その結果、統一地方選とズレていることもあって、投票率は6回連続して30%台の低さになっていました。今回は前回よりも5ポイントアップ したことが勝因であると言われましたが、それでも39%に過ぎません。それほど関心がないのが実態です。

 また、例え市長が変わっても(それは大きなことなのですが)、長野の例を見てもわかるように、議会側も同時に変わらないのならば、変革の効果は大きく後退します。来春には統一地方選があり、横浜でも市議会議員選挙が行われます。それが一つの防波堤であり、議会がおかしなことをしたら市民がチェックしていて、次の選挙では確実に見極める、という仕組みをつくるべきだな、と選挙中からも思っていました。

●それなら自分たちでメディアをつくってしまえ!

 しかし、既存のマスメディアに頼っていては、われわれが望む充分な量と種類の情報は入ってきません。私もそうですが、いわゆる「横浜都民」と言われる住民には、自分の住んでいる街なのに、行政の施策や財政状況などはよほど関心を払っていなければ情報はないに等しい状態です。更に、地方議員がどんな人であり、何を活動し、何を発言しているのかなどは、まったくと言っていいほどわからないのではないかと思われます。これは、横浜だけの問題ではなく、他の地域でも共通する問題でしょう。選挙法の問題もあいまって、充分な情報がなく、何を選択の軸にしていいのかわからないまま、「ただ選挙に行こう」と言われても、忙しい現役世代は関心を持ちづらい現状です。例え足を運んだとしても、ポスターの印象とか所属政党、せいぜい選挙公報などで、適当に判断しているのではないでしょうか。

そこで、この市長選の活動を通して知り合ったメンバーで、独自のメディアをつくる動きをしています。これは前出の「開口の会」とは別個の集団です。そして、この活動は、決して中田市長の親衛隊になろうとするものではなく、市長に対しては常に是々非々で臨みたいと思っています。もちろん、中田市長誕生によって、また新市長のスタート段階での巧みな舵取りによって、少なくとも行政と議会と市民が協調して、新たなパラダイムに踏み込む下地はできつつあります。それは、「非拡大・非成長時代の市政運営」=「民の力が最大限に発揮できる社会」をビジョンとして掲げた「施政方針演説」にも端的に現れており、その姿勢には大いに賛同するところです。しかし、逆に新市長が市役所や議会多数派や関係団体などと卒なく協調する中で、絡め取られてしまう恐れも多分にあります。ないに越したことはありませんが、そこも注視していきたいと思います。

●横浜「93番目」の議員達

以上のような経緯と考えの元に、「ヨコハマ93rds」という団体名で、JOY(Joint of Yokohama)93というサイトを立ち上げました。市議会議員の定数は92ですが、市民一人一人が「93番目の市議」となって横浜の街づくりに貢献しようという意味合いをもって、ネーミングしました。ホームページはもちろんですが、様々なイベントや定期刊行物として紙媒体も用意していく予定です。議会や行政をウォッチすることだけに留まらずに、豊かな横浜を築いて行くための、大きな意味での「街づくり」を考えていきたいと思っています。よりよい街づくりを行う上で、関係者を結びつけていく役割を担っていきたいと考えています。それは、市民と議会、市民と企業や商店街、市民とNPOと企業など、そしてそこに行政を巻き込んでいくなど、いろいろな仕掛け作りです。それも、いままでの政治団体や既成の市民団体にはない、ポップなセンスを打ち出しつつ進めて行きたいと思っています。

 選挙中から、横浜といえば、最もブランド力の高い都市であると度々指摘されてきました。しかし、横浜市という行政区分を見ると範囲はとてつもなく広く、本当に多様な地域で構成されています。一般的なイメージは港や中華街ですが、住宅地も多くを占めており、街づくりという意味では他の都市と共通点も多いのではないかと思います。従って、この取り組みが軌道に乗れば、他都市への応用も利くはずですし、他都市でとり組まれている動きとも積極的に協調していきたいと考えております。

 この取り組みにご関心を持っていただいた方、ご協力いただける方は、横浜に縁があってもなくても構いませんので、是非、下記ホームページにアクセスいただき、ご支援賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

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JOY(Joint of Yokohama)93 ホームページアドレス
http://joy93.jp/
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