一新塾ニュース
2001年3月23日号(第19号)

みなさんこんにちは。

今日の執筆者は、一新塾第7期メーリングリストでいつも熱い論戦を張っている河合拓さんです。その専門知識に裏打ちされた情熱こもった文章は、他の塾生の追随を許しません。

【第19回テーマ】 「『サラリーマンサバイバル』―私の人生を変えた本」
 河合拓(一新塾7期生)



河合 拓(かわい たく)1966年生まれ。
現在外資系コンサルティングファームに勤務。業務の傍ら趣味でMLを立ち上げ、現在会員は200人、学生や社会人などをあつめ、ファッションやアパレルについて日々ディスカッションを繰り返している。合宿やディスカッション会を通じて次世代の価値観をさぐる。
H.P.:http://www.iris.dti.ne.jp/~kawait



大前研一「サラリーマンサバイバル」小学館 1999年


私の人生を変えた本である。

毎日変わらぬ仕事と上司、残業の連続と達成できないノルマに追われ、いかにして自分のテンションを前向きに保つことができるのか?刹那的な態度や同僚といく赤提灯など一時的なものであり何の問題解決にもならない。私は悩めるサラリーマンすべてにこの本を薦めたい。

私と大前研一氏の出会いは「SYBIS」という一冊の雑誌だった。すでに廃刊となったこの雑誌は、 ITをいかに企業改革に使うかという今日的なテーマで構成されており、この雑誌の一ページに大前氏のコラムがあったわけだ。

初めて読んだ大前さんの文章はショックだった。

私はこれほどキレがあり、明快で、かつはっきりとしたロードマップを示してくれる人を今までに知らない。断定的なその口調も曖昧なこの世の中においてはむしろ新鮮だ。私はこの小さな記事を何度も何度も読み返した。そして読むたびに感動した。

商社マンだった私は中国行きの出張の途中、成田空港で「サラリーマンサバイバル」を手にした。

大前氏の文章がたくさん読めることに、どきどきした私は、どんどんその本に吸い込まれていった。そこには未知の世界が待ち受けていた。

既成概念をうち破れ、もっと自分に素直になれ、今まで我慢してきたこと、当然と思われていたこと、不条理なこと、すべてがびしばしと明快に指摘し、またどうすべきかというはっきりとしたソリューションも提示している。

「明日も仕事か...」と後ろ向きだった私はその場で転職を決意した。

今に至るまで、私はこの本を何度読んだかわからない。10年間日本企業で苦しめられ、押しつぶされ、体も何度も壊した私が、こうした現状から逃げようというのではなく、逆に、これらの企業を自分が変えてやろうと気持ちに100%切り替えられたのはこの本のおかげである。

先日昔の同僚に久しぶりにあった。相変わらず他力本願な発言をしていた。いわく「俺がいくらがんばっても上司が...」である。「働いても給料はあがらないし、ほんとうつらいよ...」と。

私は迷わずこの本を彼に渡した。いずれ彼から感謝の電話がかかってくるだろうことは間違いない。やれやれ、これで同書の購入は3冊目である(笑)。


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