一新塾ニュース
6月20日号(第6号)
【第6回テーマ】 「私と地域活動」
私が地域活動に関心を持ち始めたのはなんといっても「さわやか福祉財団」で働いた約1年半の経験が大きいです。さわやか福祉財団とは、日本全国に高齢者のためのサービスを提供するボランティア団体をもっと増やしましょう、というのが活動理念です。地域で団体を設立したいと思っている人や団体は作ったけどどう運営していったらよいかわからないといった人たちのために研修会を開いたり、助成金を出したりすることが主な活動です。私はそこで出会ったボランティアリーダーたちからの影響がとても強烈なものだったと感じています。リーダーの熱い情熱にはココロを打たれるものがありました。よく「企業は人なり」といいますが、まさに「ボランティアも人なり」だな、としみじみ思いました。
さわやか福祉財団では多くのコトを学びましたが特に「ボランティア」という特殊な世界から地域や企業社会、ひいては日本という国を客観的に見ることができてよかったと思います。そして、ここはおかしいんじゃないかという問題点がよく見えるようになってきたこと、おかしいと思うことはおかしいと言う、またそれを言うだけじゃなくどうしたらそれを解決できるかを考え、実践できる人間になりたい、と心から思えるようになったこともよかったと思います。
そんなとても勉強になるところをなぜ辞めたのか?不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。私は「お給料が安かったから」あるいは「やりがいがないからという」理由で辞めたのではありません。「自分の力不足、甘さ」を感したからです。自分がこれだけ貢献したい、と思えることを実践できる実力がなかったからです。非営利の団体では、即戦力が必要とされます。もっとこんなことがしたい、あんなことがしたいと思っても、実際に自分ではどうすることもできない、ということに対するジレンマを常に感じる日々が続いたのです。そして悩んだ末、「よし、もう一度企業の中で一から修行しよう。そして実務的な能力を磨いた上で、さらにパワーアップしたところで地域活動に貢献できる人間になろう」と思ったのです。
介護サービス会社の大手「ニチイ学館」で働くことを決めたのもそんな理由からです。しかし入社して驚いたことは、まずボランティアしながらイキイキ地域で生活している人に比べて、ここにいる人はなんと目に輝きがないことか、ということでした。みんな仕事をしていても楽しそうじゃないのです。それはなぜか? 私なりに推測いたしますと、やはり、すべて役割分担でものごとが進み、自由ではないこと、自己責任をきちんととるしくみになっていないこと、組織が変わることを皆あきらめてしまっていること、などがあげられると思います。「この組織のために、この人のために、なんとかしてやろう!」と思える人がどれだけいるかでその組織の良さが図れるとしたら、「ウチの会社はかなり危険ではないか?」と感じるのです。
・・・・・・とこんな暴露話しは置いておいて。
自分自身でも息がつまる感じがしてきた中で、現状をなんとか良い方向へ向けていきたい、と思ったとき、ふと「地域でなにかやってみたい」と思い立ち、たまたまインターネットで偶然見つけた練馬のまちづくりの会のイベントに参加したのです。そこで「自分達の地域のことは自分たちで解決しようよ。もう人任せにするのではなく、自分達で変えていこうよ」という、さわやか福祉財団でボランティアリーダーたちに叩きこまれたあの感覚を再び思いだしたのです。
●地域広報紙「ねこ」を作るまで
まちづくりの会に参加する以前から私は地域の情報をもっと開いたものにしていきたいと漠然と考えていました。一新塾の第6期でも「働くビジネスマンのための地域活動」ということで地域情報をだれもが気軽にできるしくみを作るということをテーマにしていました。
さわやか福祉財団では各地のボランティア団体や社会福祉協議会から送られてくる広報紙の管理を担当していましたが、送られてくるそれらはどれも形式的ではっきりいって読んでいてもつまらない。「これでは手にとって読もうと思う人は増えないだろうなあ。せっかく地域に役立つ情報が載っていても、手にとって読む人がいなければほとんど意味がないし、もったいないなあ」と思っていました。区報やボランティアセンターが出している広報紙を見ているとたいていが平日の昼間に活動している団体ばかりで、ビジネスマンや学生が気軽に参加できるプログラムがほとんどみあたらない。これでは地域活動が専業主婦や高齢者など特定の人の間でしか広がらないのは当然のことだと思っていました。
そこで「よし、じゃあ自分でおもしろそうな広報紙を作ってみよう!」と無謀にも思い立ったのです。行政がやるようなA4版のお堅いものではなく、「もっと遊びゴコロがいっぱいつまった楽しいものを作ろう!そして広報紙とセットで働くビジネスマンや学生が参加しやすいプログラムもいっしょに作ってしまおう!また、編集スタッフも募集して、おもしろい企画をどんどん蓄積していこう!」と、どんどん夢はふくらんでいったのです。
「思い立ったらすぐ行動!」が私の信条です。
すぐにまちづくりの会のスタッフにこの企画をもちかけ、創刊する運びと
なったのです。
「ねりま こみゅにてぃー」略して「ねこ」創刊に向けて楽しい企画は次々思い浮かびます。しかし忘れてはならないのは「この広報紙は何のために出すのか?」ということです。私はこの広報紙を出すことによって一人でも多くの人に「練馬って案外いい町じゃん」「ちょっと地域でなんかやってみるか」と思ってもらえることです。このテーマをしっかりとかみしめながら紙面づくりをしていきたいと思っています。まだまだ動きはじめたばかりで前も後ろもわからない状態ですが失敗をおそれず、とにかくまずは創刊号をきちんと出すことを目標にがんばっていきたいと思っています。
みなさんももしよろしければぜひ練馬のまちづくりの会と私が運営する「ねこ」のホームページをご覧になってみてください。その際、感想など掲示板に残してくださるとうれしいです。
■練馬のまちづくりの会のHP:http://www.dab.hi-ho.ne.jp/nerima/
■ねこHP:http://www2u.biglobe.ne.jp/~chako
最後に地域活動に参加すると・・・
★目がイキイキ輝きだす!
★楽しい仲間が増える!
★素敵な出会いがある!
★新しいものが吸収できる!
★応援してくれる人が増える!
などなど副産物がたくさん生まれてくるのも魅力です。ぜひみなさんも一度ちょっとだけ関心があるものに参加してみてはいかがでしょうか?
一新塾第6期 谷治 比佐子
谷治 比左子<略歴>
大学卒業後、家族の介護問題を機に高齢者福祉に関心を持つ。堀田力氏の本を読んだことをきっかけに堀田さんが理事長を勤める(財)さわやか福祉財団のスタッフとなる。そこで1年半勤務後、昨年ニチイ学館に入社。施設への営業、訪問調査関連部署、ホームヘルパー養成講座の運営を担当後、現場をもっと知りたいという思いから希望を出し今年7月より念願のホームヘルパーとなる。
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