一新塾ニュース 5月19日号(第3号) 【第3回テーマ】 「行政評価」 一新塾第6期生 門脇 純 行政評価制度が日本の自治体への導入に私が期待するのは、(事務事業の効率化や、政策の効果の改善もさることながら)将来的には、行政が市民(顧客)満足志向型になるということです。なぜなら、行政サービスを評価するということは、サービスがもたらす成果が、サービスの顧客たる市民にどの程度満足を与えているかを評価しなければならないからです。そのとき行政は、市民のニーズや不満を様々な方法で把握し、サービスの改善を図るようになります。この、市民満足志向型行政への転換のきっかけが、行政評価制度によって与えられると私は期待しているのです。 しかし、現在日本で導入されつつある行政評価制度というのは、市民のニーズや不満を行政の施策やサービス向上に生かす、というレベルには程遠い状態です。現在日本の自治体にある制度は、言うなれば「行政の、行政による、行政のための行政評価」であると言えます。しかし、それを将来的には「市民の、市民(と行政)による、市民のための行政評価制度」へと展開させる必要があります。この必要に答えるべく、2000年3月に一新塾関係者有志で「一新塾行政評価研究会」を設立し、「市民のための行政評価」という課題に取り組んで行くことになりました。「一新塾行政評価研究会」の活動理念は、市民のニーズや不満を行政に伝え、行政が改善をするように働きかける(またそのような仕組みをつくる)、というものです。その実践の1番目として、「東京23区ホームページランキング」作成に取り掛かりました。以下にその内容と感想を紹介します。 <東京23区ホームページランキング> <内容> 行政と市民とのコミュニケーションツールの主役として期待されるインターネットに行政がどこまで対応しているかを、自治体の役所のホームページによって評価する。 <目的> この評価の結果を公表することで行政に刺激を与え、行政に我々のニーズを伝える。 <対象> 東京23区の、区の公式ホームページ <評価基準> 「ホームページを行政と市民とのコミュニケーションツールとする」という観点から、以下の項目を選んだ。 (1)行政組織図と、部署ごとの職務内容が明記されているか(行政がどんな 業務を行っているか、ということを知ることができるか) (2)ホームページから行政全般について意見が言えるか。それへの回答はするのか。その意見と回答を公表しているか。 (3)議会や審議会の情報があるか。議事録があるか。 以上の項目をチェックし、項目外の印象も含めた総合的な判断(明確な基準は用意していない)によって、ホームページのランク付けを行った。その結果については、一新塾ホームページの中の、一新塾行政評価研究会のページで公開されるので、ぜひ参照していただきたい。そして、近いうちに、各区のホームページ管理者にもその結果を伝えて、ホームページのレベルアップを促す予定である。 <今回ホームページ調査で気付いたこと> ・評価する客観的な基準を作ることが難しく、あいまいな基準で判断しているので、偏見となってしまう恐れが十分にある。それについては、他者からの批判 できるだけ多く受けて、改善して行きたい。 ・自治体には、インターネットを利用しようという動機が弱いようである。それもそのはずで、役所は民間企業と異なり、パソコンが一人一台あるわけではないし、役所のLAN化もあまり進んでいないのである。インターネットを利用した市民参加型行政を目指すには、まず自治体内のPC普及、IT化を促進する方が優先課題だと感じた。よって、自治体のIT化を次に行政評価研究会で取り組むべきテーマの候補として、情報収集・公表することも想定している。 自治体の行政改善に関心がある方は、ぜひ行政評価研究会に参加してください! 行政評価研究会のホームページはこちら http://www.attackers.ne.jp/issin/gyosei/index.html
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