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        一新塾ニュース〜今のニッポンを変えろ!
         【第328号】 発行日:2008年4月22日
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目次
■ “市民力”による社会変革シリーズ

  【 第2弾 】片山 善博 氏 (前鳥取県知事・慶應義塾大学教授)
         『誰のための地方分権か?〜ガソリン税からの考察』
                              レポート: 森嶋伸夫
                             
■【参加者募集!】
  2008年5月25日開講、第22期説明会(東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄)

■【参加者募集!】公開講座

・『地域主権型道州制〜日本の新しい「国のかたち」』
     講師:江口克彦氏(PHP研究所社長・道州制ビジョン懇談会 座長)
  日時:2008年5月15日(木)19:30〜21:30
   → http://www.isshinjuku.com/04i_hassin/ev_mosikomi.html

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 メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。

4月24日、前鳥取県知事で、現在、慶應義塾大学教授の片山善博氏を一新塾
にお招きし、「地方分権の課題と道州制」をテーマにご講義いただきました。
「全ては住民のため!」、その姿勢が貫かれた講義でした。
私たちが、市民としての行動を起こす決意と覚悟を新たにさせていただく機会
となりました。
今回、特に、印象に残っている片山氏のお言葉をご紹介させていただきます。

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■■■■         “市民力”による社会変革シリーズ
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■■    【 第2弾 】片山 善博 氏 (前鳥取県知事・慶應義塾大学教授)
■■           『誰のための地方分権か?〜ガソリン税からの考察』
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                                  レポート: 森嶋伸夫
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 道路特定財源というのは色々税があるわけですが、一番大きいのは「ガソリン税」
(揮発油税+地方道路税)ですよね。
1リットルあたり、本税が29円、それに臨時的に暫定税率ということで25円
上乗せしてきているわけです。だから54円の課税をしてきているわけです。
その税収はすべて道路に当てなさいということです。

 ところで、54円の半分近くは自治体の財源になるんです。
税務署が取る国税なんですが、国がそのまま使う部分と自治体に配って自治体が
道路財源にする部分と二つあるんですね。地方道路譲与税と言うんです。
これも道路特定財源のままですから道路にしか使えないわけですね。

 自治体にはお金がないから、暫定税率の上乗せがあったほうがいいという意見
はわからないでもない。でも疑問があります。
もちろん自治体の財政事情は確かに苦しいけれども、民の財政事情はどうなって
いるのかということも考えないといけないのではないか。
ガソリン税は大衆課税ですから。金持ちだけが払っているんだったらいいですよ。
昔みたいに。昔、自動車に乗っている人は、金持ちだけでしたよ、私が子供の頃には。

 現在は、大都市と地方だったら地方の方がたくさん負担しているんですよ。
首都圏のみなさんでマイカー通勤している人はごく一部でしょう。
車を持っている人はいるけど、土日かレジャーのときだけでしょう。
毎日ガソリン使っているわけではないので、払っているガソリン税もたかが
知れています。

  しかし、地方の人は、毎日使っているんですよ。一家に二台あるんですよ。
金持ちだな、いいな、じゃないですよ。所得が低くて、夫婦2馬力で働かな
くてはならない、非正規雇用の全国平均は3割ですが、地方は都会に比べて
圧倒的に高い。年収も300万円あったらいいほうです。
その人たちが、夫婦2馬力で働かなくてはいけないんです。
都会と違って地下鉄はない。JRはあるけど、全然投資しません。
ドル箱の新幹線しか投資しません。
在来線は不便、一時間に一本あるかないか。バス路線は赤字で廃止、縮小。
となると、もうマイカーしかないんですよ。夫婦共稼ぎなら車2台になるわけです。
そういう人たちが毎日ガソリン税を払っているわけです。
だから、税でいうと、逆進性が非常に強いわけです。
逆進性というのは、所得に反比例して、そういう家庭がこの税を支えていることを
認識しなくてはいけない。

 ところが、自治体の首長さんは、自分の地方自治体の台所事情で
「道路作るんだ、金がないんだ、暫定税率維持だ。」と言っているわけです。
  肝心の自治体というのは住民のみなさんのために仕事をするわけですよ。
その住民の皆さんの台所事情がかなり痛んでいるわけです。そうしたら、その
台所事情をちょっとくらい緩和してあげる首長さんがいたってバチは当たらない
と思います。全部とはいわないけど、せめて3分の1くらいは。
でも、こぞって自分の自治体の台所事情しか言わない。
「そんなことより道路だ。」というのは、ちょっとどうかなという気がするんですけどね。

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  自治体のための地方分権なのか?住民ための地方分権なのか?
  ここをしっかり見極めることの重要性を実感する講義でした。

 

 




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