☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆
        一新塾ニュース〜市民力で社会一新!
         【第265号】 発行日:2006年10月27日
☆〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓☆

目次
■長野県と一新塾 その2 

   『 日韓「草の根交流」使節団、田中康夫知事(当時)と熱烈懇談 』

           (「一新塾:日韓交流報告書2006年版」より抜粋 )

=======================================================

メルマガ読者の皆さま、こんにちは。事務局の森嶋です。
今年1月には、一新塾主催の「日韓草の根交流」で将来韓国を背負って立つ
韓国使節団22名が訪日しました。初日目は国政の視察、翌日は、地方自治の
現場を見たいとのことで、一新塾メンバーと共に、長野県を訪ね、田中知事(当時)
と懇談しました。その後は、小布施を訪ね、町長と会食しながら親交を温めました。
日本側の代表を担った青山貞一氏のブログにて、写真つきで交流の様子が紹介
されています。
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col6047.html

今回は、「長野県と一新塾 その2」としまして、韓国使節団と田中知事(当時)
の懇談の一場面をご紹介させていただきます。

■■■■■■■□□□□───────────────────
■■■■■   
■■■■        長野県と一新塾 その2
■■■■      
■■    〜「一新塾:日韓交流報告書2006年版」より抜粋〜
■■
■■  『日韓「草の根交流」使節団、田中康夫知事(当時)と熱烈懇談』

□         日時:2006年1月20日 13:30〜15:45
             会場:長野県庁特別会議室

    
孫氏: 私自身は現場の活動家として活動してきました。
   その際一番根本的な問題というのは、どうやって人を変えていくのかという事です。
   公務員の意識を変える方法を教えて下さい。

田中氏: 私や孫さんもパブリックサーバントリーダーなのです。
   リーダーはパブリックサーバントであるのと共に、哲学や考えを最初に
   示さなければなりません。示すからこそ、市民は反対だとか賛成だとか、
   こう直して欲しいとか言えるのです。物事を正しく行う、正しい事を
   見出して、行っていくことが大切です。

   ところが、日本には自分の考えを示すリーダーはほとんどいません。
   示すのは役人が書いた役人社会にとって都合のいい社会だけです。
   私は、職員はby name(自分の名前)を語って仕事をする大切さを伝えて来ました。
   (今までは)誰が発案して誰が行ったか、個人名がないのです。ネームプレート
   をつけているのは管理のためです。みんな同じ鋳型に押し込むための管理の
   ためです。

   でも、私たちは違います。私たちは県民のみなさまに名前を見てもらうよう
   にしています。すべての会合でフルネームを言うように指導しています。
   例えば、Aは環境問題を扱っています。「生活環境部長を承っているAです。」
   と言っています。それは英語で言えば、生活環境部という仕事がインチャージ
   されている、という意味です。Aの自慢のためではなく、「私はその仕事に
   責任があります」と述べているのです。

   すべてのドキュメント(文書)には作成した人の名前と電話番号とファクスが
   書いてあります。そこには肩書きはありません。二名の名前があります。
   左側には通常課長、右側には作った担当者名があります。

   一方、日本の霞ヶ関の書類は苗字しか書いてありません。
   私の田中など日本中に五万といます。それでは匿名性に守られてしまいます。
   人々にインフォームド・チョイスをしてもらうために、私たちは名前で仕事
   をします。つまりアティチュード(意識)です。
   どんな行いをするにも、その意識が重要だという事です。同じ仕事をしていても、
   人が違えば内容が違ってきてしまうということです。

   私たちには180の自治体(市町村)があります。
   そこに県の職員が常駐しております。役場の一階には地元の人たちが日常、
   訪れております。ところが県の組織には一般の方は訪れません。ここ(県庁)
    にいると、霞ヶ関の中央政府を見て、いかに補助金を得るが重要となって
   しまいます。
 
   そこで、私たちは(職員を)市町村に住み込みで駐在させます。
   小さな市町村の駐在をすると、すべての仕事をしなければなりません。
   同時に、歩いていると直接市民から質問されます。自分の担当外だからと
   いって答えられないと馬鹿にされてしまう。あなたは県職員なのにそんな
   ことも知らないの?といわれてしまいます。そこで覚えるようになり、
   住民によって鍛えられます。

李氏: 脱ダム宣言への反対(企業や住民)に対してはどのように対応しましたか? 
   また、脱記者クラブはどのように行われましたか?

田中氏: ダムに関しても、ダムが必要なのではなく、ダムによるお金の循環が必要な人
   がいるということです。ダムは外にお金が出て行くので、県内の産業には役立
   たない。公共事業を否定するのではなく、あり方を変えるつもりです。

   脱記者クラブも一部の人の権益のためではなく、すべての人に公開するものだ
   と思っているから実行したのです。最初は、表現道場と言っていました。
   既存の方々は「自分たちに稽古をつけるのか」と怒ったので、今は、表現セン
   ターといっています。

   私が県知事になって感じた事は、なんて県というところは仕事が遅いの
   だろうということでした。ところが時間をダラダラとかけているのに、
   私がやりましょう!と印を押すと、恐ろしいほどの勢いで進みます。

   ダムを造りたい人は利権で繋がっています。
   ですから、10年間そのための専従のスタッフを雇う事ができます。
   ですが、利権ではなく理念で集っている人は、仕事があり、家事があるので、
   ダム反対についてばかり24時間行動はできません。すると時間が経つといつの
   間にかあきらめてしまうのです。

   ですから、住民の意見は聞くけれど、ゆっくり時間をかけて聞く、という
   ようなリーダーは嘘だと思います。住民があきらめるまで時間をかけている
   のです。

   サーズ終息宣言を出すということは、事実を閉じてしまうということです。
   けれどもそれは安全ではないのです。それは正しいインフォームド・コンセント
   ではないのです。

   私たちは武器を持たず日々戦い続けなければならないということです。
   私(と高知の橋本大二郎知事、東京の石原知事)以外は誰がなってもそれほど
   変わらないかもしれません。なぜならば共産党と新党日本以外のすべての政党
   が相乗りで決めるからです。つまり議会と知事が同じ考えだという事です。
   同じ利権の上にのっている。長野や高知は数少ない例外だという事です。

   例えばコンサートを考えてみましょう。素晴しい同じコンサート会場で同じ
   素晴らしいモーツアルトを演奏しても、指揮者によって音色は変わってきます。
   知事についても同様です。私で無くなれば全く変わっています。宅幼老所も
   次の人は選ばないかもしれません。

   私は基本的に大きな集中型ではなく、地域を重視した分散型を重視しています。
   ですから、迅速的ということでは、高知の橋本大二郎知事、東京の石原知事の
   お二人と似ているかもしれません。行っている慣用と福祉や環境とは違うかも
   しれませんが・・・。

   利権で集っている人たちは一本化できます。
   でも理念で集っている人たちは一本化できないのです。
   市民運動しているときは連帯できても、立候補するときは「何であの人だけ
   議員になるの」と言う。そしてウチゲバになってしまいます。
   ですからインディビジュアルユナイテッドといっています。
   一人ひとりでありながら全体である、と常に言い続けているのです。
   ですから、サービスというビジネスといいましたが、ホスピタリティーという
   ビジネスをこの長野でやっています。

 



一新塾ニュース「今のニッポンを変えろ!」メールマガジンのページに戻る