一新塾ニュース  第43号
発行日:2001年10月20日

「犬山市長と教育改革と一新塾」

森嶋伸夫(一新塾マネジャー)

9月28日名古屋スクーリングに愛知県犬山市長の石田芳弘氏をお迎えした。
犬山市は名古屋の北の木曽川沿いに位置する犬山城や明治村で有名なのどかな田園都市である。
熱血市長が教育改革に取組んでいると聞き「公教育を変える!」というテーマで現在とりくんでいる教育改革について自治体行政の視点で語っていただいた。「人事権を行使すれば公教育は変えられる!」「公教育は市町村長がその気になれば必ず変えられる」とのメッセージを繰り返された。

1998年9月に中央教育審議会答申『今後の地方教育行政の在り方について』
http://www.monbu.go.jp/singi/cyukyo/00000253/#3
がなされ、それを受け、地方分権法に関わる法律の改正が進められてきた。

石田市長は改正のポイントをいくつか例示したが、ここでは、そのうちの3つをご紹介させて頂く。
1つ目は、教育委員会の「教育長の任命承認制度の廃止」。これまで、都道府県の教育委員会の教育長は"文部大臣"の承認が、市町村の教育委員会の教育長は"都道府県教育委員会"の承認が必要であった。しかし、現在は地方公共団体自らの責任において教育長を選任できるようになった。市長はいち早くこれに目を付け十数年来の付き合いをしている信頼できる人材を教育長に据えた。「こうした取り組みは、愛知県の他の市町村にも波及している。西春町では公募で教育長を決めた。
http://www.town.nishiharu.aichi.jp/page/topix/topix.html

2つめは、「校長・教頭の資格条件の緩和」。
教員免許がなくても、一定の要件を満たせば、校長・教頭になれるようになった。市町村の場合、校長・教頭や教師の任命権(人事権)は県教育委員会が握っているが、市町村は「内申権」を行使することで働きかけをすることが出来る。「実は、今年の4月より私立大学の教育学の教授に校長になってもらおうと県教育委員会に働きかけをしたが、理解を得られなかった。来年、再度チャレンジするつもりだ」と意気軒昂である。

3つ目は、「機関委任事務の廃止」。
機関委任事務とは、本来国の事務であるが、効率上(国の出先機関が地方に無い場合)国に代わって地方公共団体の執行機関に委任して事務執行させるしくみである。機関委任事務の廃止によって、これまでの国や都道府県から指揮監督も廃止され、市町村委員会が自主性を発揮できるようになった。
たとえば、「学校の組織編成」「教育課程」「学習指導」「教科書その他の教材」などの裁量の幅が拡大された。「小学校では算数でつまずく子が一番多い。犬山市では、まずは、算数の独自の副教本を作成している」。

石田市長の精力的な変革への取り組みに参加者一同、鼓舞されている最中、私の背中を電流のようなものがビリッと突き抜けるような衝撃的な言葉をいただいた。

「一新塾皆さんに犬山市を貸席します。私のブレーンになってください。一新塾で学んだことを犬山市でどんどん実験してください。作った政策をどんどん犬山市で試してみてください。」

一新塾では、市民が地域の政策に声を上げていく「新しい市民参加の方法論」を日々、摸索しており、こうしたご提案を頂くことは願っても無いことだった。

現在、プロジェクトチームの立ち上げに奔走中である。
(ご関心ある方、事務局までご連絡ください)