一新塾ニュース
2001年2月9日号(第15号)

【第15回テーマ】 「日本における民主的組織運営はいかに実現するか?」
笹本貴之(一新塾OB)

 「日本における民主的組織運営はいかに実現するか?」これが私の一貫したテーマです。私は6年前(1995年)に渡米し、アメリカ黒人問題を2年間研究しました。そして帰国後、都内でサラリーマンをしながら一新塾に入塾(第6期)したのですが、その全ての試みはこのテーマの答えに少しでも近づくためでした。

 アメリカでは、黒人問題に関わる二つの組織で実際にスタッフとして働きながら、彼らの組織運営をつぶさに見てきました。ときには黒人たちとデモ行進をしながら、またときには貧しい黒人たちのために住居の改築作業をしながら。そのような組織を指導する人々が実際に何に悩み、何を夢見ているのかを知りたかったのです。民主主義の問題そのものとも言うべきアメリカ黒人問題に取り組む人々の組織運営を見ることは、日本における組織運営を考える上で大いに応用できると思っていたからです。

 このような関心を持って「一新塾」に入塾したのですが、私にとって最も大きかったことは、共通するテーマを持った仲間と出会えたことです。一新塾では塾生の興味に従って幾つかのチームに分かれ、それぞれのテーマで一年間の成果をまとめた政策提言を作成します。私はたった4人の「意思決定問題チーム」に属しました。

 どんなに立派な政策があってもそれが最終的に実現されなければ意味がありません。だからといって民意をまったく無視して強制執行することもできません。それならば、政策が実現するまでの民主的な運営過程を明確に制度化し、その制度を政策の一部としたらどうだろうか。これが我々のチームの問題意識でした。その我々の政策提言が「大前賞」をいただいたわけですが、その喜びにもまして、将来にわたって協力して行けるメンバーとの人間関係こそが、私にとって掛けがえのない財産となりました。

 現在は帰郷して家業である自動車修理会社の経営に携わっています。今でも同じテーマを会社組織という場で、中小企業経営者としての立場から独自に研究しています。そしてこれまでの研究成果を活かし、コミュニティー地域社会のこと、市のこと、県のことを当事者として考え、地道な地域向上に貢献してゆきたいと思っています。また、今年は上記渡米中の体験をつづったノンフィクション作品『サンドタウンに吹く風』(永版社 http://www.eihansya.8m.com)を出版しました。

 

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