一新塾ニュース
5月25日号(第4号)

【第4回テーマ】 「小布施流まちづくりの模索」

一新塾第6期生 木下 豊

私たち「メガ人流(経済2)チーム」は「メガ人流による21世紀の地域マーケティング政策」をテーマに政策提言を作成しました。一新塾第6期卒塾式では多くのみなさんにご支持と励ましをいただき、一同、心より感謝しております。

私は北信濃の小布施町を拠点に、「文屋」という編集業を営んでおります。経営のテーマは「日常礼賛!」。理念として「生活者と来訪者双方の満足が調和した、独自性の高い田園の生活文化・経済文化を、世界中の人々と交歓しながら育てるため、出版をはじめ多彩な『うごき』を編集プロデュースいたします」と唱っております。これはメガ人流チームの提言主旨と同じであり、一新塾で学ぶこと自体が私にとっては、創業まもない「文屋」の指針を見つける日々でした。

小布施町は、伝統の栗菓子産業と葛飾北斎の北斎館、日常的な潤い景観の創造という三つの柱で、まちづくりが進められています。この二十数年間は、私より十歳以上年長の、今、50歳以上の優れたリーダーに恵まれた年月でした。ではこれからどうするのか?次のようなことを語り合っています。

(1)生活者と来訪者双方の満足が調和するテーマを選ぶ
(2)足元の素材をみつめて生活者の日常にむすびついたテーマを選ぶ
(3)世界と交歓し、発信し、世界の人々やまちとつながるテーマを選ぶ
(4)プロジェクトは生活者が自主的に推進し、行政は情報提供や広報、事務局
などサポート役を担う。

こうした視点から、「小布施国際音楽祭2000」「世界人と花フェスタ2001」などが企画されています。また、個人庭園を一般に開放する「オープンガーデン」が始まりました。英国で長年続けらてきた事業の小布施版で、行政と民間が協調したうごきとしては、日本初の試みです。「文屋」は、総合コーディネートとマップの編集を行いました。「オープンガーデン」に寄せる私の想いを次に記します。みなさんに、小布施へお越しいただけるのを心待ちにしております。

<<小布施オープンガーデン開幕>>

〓〓〓〓〓「美日常」へのステップとして〓〓〓〓〓

たんせい込めた庭を、より多くの人と一緒に楽しもう。出会いや交流を通じて、花と緑があふれる豊かな生活文化を高めよう。小布施のオープンガーデンはこんな願いを込めて、2000年春に始まりました。オープンガーデンが住民と行政の協同というかたちで開催されるのは、全国で初めて。過去20年間にわたって進めてきた「花のまちづくり」の結晶といえます。

小布施人がオープンガーデンに期待するもっとも大きな成果は、花をテーマにした人々の交流によって生まれる情報交換や日常生活への刺激です。私たちは暮らしの舞台を花や緑で飾り、近所同士で観賞しあい、種を交換したり育て方を教えあったりして楽しんでいます。オープンガーデンに登録することによって、訪れる人はまったく未知の人々へと一気に広がります。「見られる」ことの緊張感は、より美しい庭づくりや家の内外への心配り、さらには暮らしぶりを再考するきっかけをもたらします。この緊張感はストレスや肩こりの原因になるようなものではなく、それでいて背筋をすっと伸ばしたくなるような、心地よさをもっています。

旅は非日常に遊ぶことだと言われます。日常から脱皮する旅で、私たちは開放感にひたり、再び戻る日常生活への元気を吸収します。日常と非日常・・・では、オープンガーデンのある暮らしは、この二つのどちらに当たるのでしょうか。庭というオーナーの暮らしの場で展開されるオープンガーデンは、日常でも非日常でもないもの、「すてきな日常」です。これをたわむれに「美(び)日常」と呼んでみたいと思います。

見知らぬ人々に我が家を開放するオープンガーデンには、不安もあります。マップに記されている「観賞されるみなさんへのおねがい」から、オーナーたちの不安を読み取ることができるでしょう。私自身、窓から見える居間の整頓や庭の草取り、洗濯物を干す場所など、家族で話し合うことが増えました。しかしオープンガーデンが始まってみて、これまで「プライバシー」だと思っていたことが、動かし難い“一線”ではなかったことに気づき始めています。

どうぞ、たくさんの庭をゆっくりとご覧ください。出会う人々と、気軽に話してみてください。それは、あなただけが味わえる小布施の「美日常への旅」です。

<第6期経済2チーム政策提言>

 「メガ人流による21世紀の地域マーケティング政策」はこちらでご覧いただけます
http://www.attackers.ne.jp/issin/seisaku-mega.html


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